【「作って」と頼んだ時点で失敗しています】
現役経営者のyamacと申します。法人営業14年ののち独立し、今は50社超・15業種の営業や経営の支援をしています。エンジニアではありませんが、営業リストの作成から営業文、請求書作成やデータ転記の自動化まで、AIを日常業務で使っています。
最初にお伝えしたいことがあります。AIに「営業リストを作って」と頼んではいけません。そう頼むと、実在しない会社名がまざったリストが出てきます。もっともらしい嘘を作る性質があるためで、これはAIの欠陥ではなく仕様です。
私がやっているのは、AIに作らせることではなく、AIと一緒に作ることです。その手順を5つに整理してお伝えします。
【1. 作り始める前に、対象を言葉にする】
いきなりリストの話をしません。まず「誰に何を売りたいのか」「なぜその相手なのか」をAIと壁打ちして詰めます。
そのうえで、対象を文字にします。「中小企業」ではなく「従業員30名以上100名未満、製造業、関西、創業5年以上」というレベルまで。自分の頭の中にある感覚を、他人が読んでも同じリストを作れる状態にするイメージです。
ここが曖昧なままリストを作ると、後の工程がすべて無駄になります。実際、時間の半分はこの工程に使っています。
【2. 実在する会社だけを対象にする】
ここが最大の分岐点です。行政の公開データや信用調査会社のデータベースなど、実在が確認できる情報源だけを使います。AIの記憶から会社名を出させることは絶対にしません。
存在しない会社に営業をかける事故は、この一線さえ守れば起きません。
あわせて、情報が最新かどうかも必ず確認します。会社は移転し、統合し、廃業します。古いリストへの営業は、届かないだけでなく、相手に不信感を与えます。
なお、各データベースには利用規約があります。取得した情報をどこまで使えるかは、提供元の規約の範囲内で判断してください。
【3. 送ってはいけない相手を、先に外す】
ここは多くの人が飛ばす工程ですが、私は最も重視しています。外すべき相手は2種類です。
ひとつは、HPや問い合わせフォームに「営業目的のご連絡はお断りします」と明記している企業です。ここを見ずに送るのは、相手の意思表示を無視することになります。事前に確認して外します。
もうひとつは、既存の取引先とその関連会社、過去に断られた相手です。これらのNGリストは、作業に入る前にAIへ読み込ませておきます。そのうえで、最終的に混入していないかを自分の目で確認します。
既存のお客様に新規営業をかける事故は、積み上げた信用を一度で失います。ここだけは、AIの確認に加えて必ず人間の目を通してください。
【4. 精度は、多角的なチェックで上げる】
集める項目は先に決めます。業界、企業名、売上規模、従業員数、HPのリンク、住所。後から追加すると集め直しになります。
リストができたら、視点を変えて何度も検証します。実在するか、条件に合っているか、重複していないか。AIは同じ確認に何度でも付き合ってくれるので、この工程はむしろ人力より徹底できます。
そして、条件どおりに集めると似た会社ばかりになるので、最後に角度を変えて広げます。「同じ悩みを別の形で持っている業種は」「業界の枠の外にいる相手は」と問いかけて追加していく。この工程が、競合がまだ見つけていない相手を見つける工程になります。
なお、担当者の個人名や個人のメールアドレスを集める場合は、企業情報とは扱いが変わり、個人情報保護法の対象になります。目的をはっきりさせ、適切に管理してください。
【5. 最後の判断は、AIに渡さない】
送るか送らないか、この相手にこの内容でよいか。最終判断は自分でします。
AIは調べて、整理して、並べるところまで。判断は人間が持つ。この線引きを守る限り、AIは非常に優秀な相棒です。
【なぜここまでやるのか】
営業リストの質が、営業活動のすべてを決めるからです。間違ったリストに完璧な営業文を送っても、成果はゼロです。むしろ、送ってはいけない相手に送ることで、失うもののほうが大きくなります。
AIを使えば作業時間は確実に減ります。ただ、減った時間を精度の確認に回さなければ、速く失敗するだけです。私が手順を細かく分けているのは、速さではなく精度のためにAIを使っているからです。
自社の商材でこの手順をどう組むか、実際の画面を見ながら一緒に設計してほしい方は、ココナラで「営業・事業のAI活用を現役経営者が教えます」というビデオ相談を出品しています。エンジニア向けではなく、私と同じ「AIを道具として使いたい事業者」向けの内容です。
まずは手順1の「対象を言葉にする」だけでも試してみてください。ここが決まると、残りは驚くほど進みます。