心理カウンセリングの技法に「対決」がR。
これは、クライエントの行動、思考、感情、意味における、不一致、矛盾、葛藤を指摘することで、矛盾・葛藤・混乱は統合され、行動変容が起きやすくなる。ねらいは、矛盾の説明、又、その解決策についてのクライエントの意見表明を促進すること。
クライエントは自己理解を深め自分の弱さや問題点に気づいた時に、自分を変える意欲を持つが、内面に矛盾・葛藤・混乱がある為、元の習慣は容易には変わらない。
つまり、矛盾・葛藤・混乱を統合し、行動変容が起きやすくするための技法なのだ。
例えば、2時間ドラマに出てきそうだが、仕事もせず、酒やギャンブルに溺れ、稼いだお金を悉く奪っていったり、勤め先にまで小遣いをせびりに来る彼氏(そんな資格があるとは思えんが)の存在に苦しみ、何度も「別れたい」「別れよう」と思いながら、「見捨てないでくれ」「お前しかいない」「これから真面目にやる」などと泣きつかれると別れられなくなってしまう女性がいるとする。彼女をを愛するもう一人の誠実な男に「あんな男といてはいけない」と何度忠告されても、聞き入れることも、彼の愛を受け入れることもしない。
結局、どんなにダメな男であろうと、彼女にとっては離れがたい相手なのだ。
彼女が彼氏の行動に苦しんでいるのは確かだ。「別れたい」「別れよう」という気持ちもある筈だ。しかし、その反面、どこかに彼氏への思いや、「別れたら彼はどうなる」「自分はどうなる」という不安等もあったりするのかも知れない。そして、厄介なことに、折角、誰の目から見てもこの人といる方がいいだろうと思えるような誠実な相手との出会いがあっても、そちらを選ぶことがどうしてもできない。
どんなに自分を変えたいと思っても、内面に「憎い・恋しい」「嫌い・会いたい」「別れたい・別れたくない」のように矛盾・葛藤・混乱があるから、今の修羅場を容易には抜け出せないのだ。
彼女がカウンセリングに来ない限りカウンセラーとしてはどうしようもないが、来た来たで矛盾でも何でもいいから思っていることを全て吐き出してもらって真の気持ちに気づいてもらうように私なら努める。案外本人にとっても意外な本音が出てくるやも知れない。そのためには、じっくりと話しながらラポール(信頼関係)を築いていく中で「憎い・恋しい、両方の感情が同時に存在するのは人として自然なこと」としてこちらの感じていることを指摘できるようにしっかりと向き合わねばならない。
因みに、私事だが、元カノが別れを告げてきた時も、「好き」という気持ちが残っていて随分迷ったということだった。
彼女の場合は、気持ちを統合して次のステップに進めたのだから、それが理想的な形だと言えよう。
但し、別れた直後に私と同じ劇団のメンバーともう付き合い始めた変わり身の早さには呆れてものも言えなかったが。
駄文の御閲覧、心より感謝申し上げます。