【誰にも私は潰せない】

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学び
 京都でボランティア(芸術展の場内警備)
 した後、浜大津まで足を延ばし、一時間
 あまりのつかの間の観光を楽しんできた。
 ここ一年半ばかり、カウンセラーとして
 立つべく、勉強やら何やらでつい出不精
 になりがちだったし、楽しむことに目を
 向ける余裕など全くなかったのであるが、
 今日は、折角京都まで来たことでもあり、
 こんな機会は滅多にないしと思い切った。
 明日から、カウンセラーとしての宣伝や
 その他で今日までとは違う新たな戦いが
 始まることだし、いい気分転換になった。
 路面を走る地下鉄も見られたし、大津港
 からの琵琶湖の美しい眺めも九年ぶりに
 堪能できた(元カノとの初デートで一度
 来ている)。湖の駅で店舗限定の信楽焼
 のぐい呑みも土産に買えた。同じものが
 二つとない(手作りなのだから当たり前)
 琵琶湖ブルーの正真正銘の限定品である。
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 この限定ぐい呑みを買って帰途、電車の
 中でずっと考えていたのだが、そもそも
 人間一人一人が、言い方は悪いが、誰も
 この世に二人と同じ人はいない存在では
 ないか。失礼を承知で言い換えれば人は
 皆限定品のようなものではないだろうか。
 たかが、と言ってはこれもまた失礼だが、
 こんなぐい呑みですら、限定品と聞くと、
 私でさえ貴重な価値あるものに感じるし、
 大事に使おうという気にもなる。それだ。
 不思議なことに、物なら「一つしかない
 から」「限定品だから」と大切に扱おう
 とする我々人間が、甚だ失礼な言い方に
 なるが、究極の限定品とも言うべき人間
 の一人一人、簡単に言えば周囲の他者を
 大切にしない、できない、する気がない。
 杉下右京でも「どんなに高価な品よりも
 人一人の命は重い」と言うに決まってる。
 何より、世界中の何十億人といる人達の
 中から、友人・同僚・師弟・その他の何
 であれ、様々な形で関わっている時点で
 奇跡に近い出会い。それを縁と言うのだ。
 「心が欲しければ心で当たれ」と言うが、
 どんな関係性であれ、良い縁を望むなら、
 先ず、一つ一つの縁を大切にすることだ。
 職場その他で新しい仲間を大事にしない、
 こんな折角の縁を粗末にするようなこと
 では話にもならない。私も胆に銘じよう。
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 「他者の存在を認知している」、つまり、
 「あなたがそこにいることを私は知って
 います」、という意味の「ストローク」。
 この「ストローク」については、5つの
 望ましいとされる建設的な交流があるが、
 これを私自身の体験談を交えて紹介する。
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 今日は、④自分の欲しくないストローク
 が来たら拒否できる自分になる。である。
 ●劇団の先輩が、いつも「お前に彼女が
  いる筈がない」等と人前で自分を平然
  と見下すことに毅然とした態度で接し、
  たとえ先輩でも絶対許さない、という
  姿勢を見せつけていた。
 嘗ていた劇団に、M氏という先輩がいた。
 このM氏、他者への礼儀だの思いやりに
 欠ける人物で、相手によって態度も違い
 (特に、女性にはサービスやら気遣いが
 やたらマメだが、男性には、「お前には
 そんな気持ちは持っていない」と仲間内
 でも扱いの差があまりにもあり過ぎた)、
 自分が軽く見ている相手を人前で平然と
 侮辱する等、デリカシーにも欠けていた。
 ある時、公演の打ち上げの席上で、他の
 お客様もいるというのに、あるお客様と
 私が話していて、「クッキーさん(私の
 愛称)、奥さんは?」と質問されたのへ、
 「こんな奴に嫁さんがいる筈おませんて」
 と、いきなり話に割り込んできたものだ。
 つまらない男だ。これには私も怒ったが、
 それ以上に周囲から非難の声が上がった。
 それまでは、先輩だからと、ただ無視を
 するだけで済ませてきたが、それ以後は、
 かかる無礼があった場合、厳しく対した。
 毅然とした態度で、自分の無礼で他者が
 如何に不快な思いをするか知れと諭した。
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 長らく、先輩だからと、無視するだけで
 済ませてこられたのは、「あいつに俺は
 潰せない」という気持ちが強かったから。
 元々、そういう人間をつまらない男だと
 思って見ていたので、「あいつに潰せる
 ほど俺は柔じゃない」と言えるくらいの
 自己肯定感は持っていた。実は、これは、
 私自身も相手を軽視しているということ。
 勿論、それだけの理由はあるが、たとえ
 そうだとしても、人間関係構築において
 「目には目を歯には歯を」は害であった。
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 「自分の欲しくないストロークが来たら
 拒否できる自分になる」の実践ができる
 ようになるには、強い自己肯定感を持ち、
 相手をも尊ぶ精神的資質が必要なようだ。
 その点、私もまだまだだと言うしかない。
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 駄文の御閲覧、心より感謝申し上げます。
弥九蔵、旅のあと.jpg

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