出品ページの説明文を書いているとき、指が止まった一文があります。
「どんなサイトの価格でも取得できます」
書けば、たぶん強そうに見える。
迷っている人の背中を押せそうな一文です。実際、私は書きたかった。もっと言えば
「書けるようになりたかった」
Amazonでも楽天でも、大手のサイトでスッと動いてくれたら、どんなに気持ちよかっただろうと、何度も思いました。
でも、書きませんでした。
書けなかったのは、嘘になるから
前回の記事で、robots.txtと利用規約の話を書きました。
調べていくうちに、大手ECは規約でそもそも対象外だと分かった。
技術的に「作れる」ことと、「やっていい」ことは別だった、という話です。
その線を一度引いてしまうと、もう「どんなサイトでも取れます」とは書けなくなります。
書いた瞬間、それは誇大広告になる。
自分で引いた線を、自分の売り文句で踏み越えることになる。
一文の見栄えのために、そこまではできませんでした。
一番こわかったのは「意味あるの?」
正直に言うと、線を引いたあと、しばらく落ち込みました。
大手に対応していない価格収集ツールって、意味あるのかな、と。
世の中の人がまず思い浮かべる「価格を見たいサイト」って、たいてい大手じゃないですか。
そのど真ん中を外したツールに、価値なんてあるんだろうか——そう思うと、出品ボタンを押す手が重くなりました。
ここは、まだ完全には割り切れていません。
ただ、考えているうちに一つだけ見えてきたことがあります。
大手ができないなら、誰のためのツールなのか
大手ECは、規約で守られていて、そもそも自動収集を許していない。
だから逆に言えば、大手を見張りたい人は、はじめから公式のデータサービスなり、別の正規の手段を使う世界の話なんです。
私のツールが入る余地は、もともとそこにはない。
じゃあ誰が困っているかというと、自分でショップを構えている小さなお店だと思っています。
WooCommerceで作った独立系のサイトや、大手モールに乗っていない専門店。そういうところの「あの店、また値下げした?」を毎日手作業で見に行っている人。
大きなサービスが相手にしない規模の、地道な見張りです。
大手非対応は、穴じゃなくて、たぶん立ち位置の方なんだと思います。
そう思えるようになってから、少しだけ肩の力が抜けました。
だから説明文には、できないことを先に書いた
結局、出品ページには
「どんなサイトでも取れます」
ではなく、
「取れないサイトがあること」
を先に書きました。
大手ECは対象外だと明記して、購入前にDMでURLをもらって、対応できるかを無料で確認してから見積もる。
そういう流れにしています。
売る前にブレーキをかける設計なので、たぶん一件あたりの手間は増えます。でも私は、契約書とか返金とかクレーム対応みたいな「売ったあとの調整仕事」が本当に苦手で、そこで熱が切れるタイプです。
だとしたら、嘘を書いて一件売って、あとで「聞いてた話と違う」と揉めるのが、自分にとって一番きつい。
先に正直に書いておくのは、お客さんへの誠実さであると同時に、私自身を守るためのブレーキでもあります。
現在地
こう書くと決意表明みたいですが、実態はまだ地味です。
このツール、
問い合わせはまだ一件も来ていません。
だから「正直に書いたのが正解でした」なんて、胸を張って言える段階じゃない。
それでも、と思っています。
強い一文で一件売って、あとで揉めるより、正直に書いて、来なかった方が、私はよく眠れる。
届く前から誠実でいる方が、たぶん長く続けられる。
いつか「これ、うちのサイト見張れますか?」というDMが来たら、また正直に、できる・できないをお返しするつもりです。
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価格ウォッチャーの出品ページはこちらです(できること・できないことを正直に書いています)。