ダイバーシティ

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政府は、岸田首相が掲げる「成長と分配の好循環」に向けて「新しい資本主義実現本部」を設置しました。本部長には首相、副本部長には山際大志郎経済財政・再生相、松野博一官房長官が就任し、全閣僚が参加します。本部の下に設置する「実現会議」では、賃上げなどを通じて中間層を厚くする施策が議題になりそうで、2022年度の税制改革や予算編成にも反映させる考えです。実現会議の民間有識者メンバーは15人。分野、年齢、性別の多様性、バランスを重視しています。女性が約半数の7人、渋沢栄一の玄孫、スタートアップ経営者、連合初の女性会長、経団連会長、東大教授などバラエティに富みます。これまでの「成長戦略会議」の衣替えですが、引き継ぐメンバーは日本商工会議所会頭のみです。Zホールディングスの川辺さんなどは面白い人選だと思います。ヤフー、LINE、ZOZO、PayPayなどを経営する企業(ソフトバンクグループ傘下)の代表です。

分配を実現するための、成長がポイントです。安倍・菅政権でも成長戦略は課題でしたが、大きな成果は上がっていませんでした。この実現会議が具体策を打ち出せるか注目です。ダイバーシティ(多様性)を重視していますが、これは諸刃の剣。単なるバランスでは、各方面を丸く収めた平均的妥協案になってしまう。理想的には、多様な背景・能力・経験が化学反応を起こして、従来路線にはない斬新な施策が生み出されることです。これ、世の中の民間企業でも目指しています。大体プロジェックトを結成する場合は多様性を重視している。しかし実際は、関連各部各分野の合意形成役(権利代表)になり、全体最適という名のもとに、無難なアウトプットになりがちです。下手すると意見の分裂を促進するだけの結果になる。好き勝手に発言して、まとまらない。「多様性→化学反応」は本当に難しいのです。

ではどうしたらよいのか? 結局は、中側で誰がリーダーシップを取るのかという結論になってしまいます。これは客観的な調整役、いわゆるファシリテーターではありません。当事者としてチームを牽引して、ハードルを超えていくリーダーです。企業で新しい取り組み・付加価値開発に挑戦する場合、成功例には必ず「強く賢いリーダー」が存在します。さて、今回の実現会議では、「中側」で誰がリーダーシップを発揮するのか。注目したいです。

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