変革の時代

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司馬遼太郎の映画が二本、「燃えよ剣」と「峠」。ともに幕末大変革の時代のお話です。感染症の影響で、公開が遅れに遅れていました。今月「燃えよ剣」が封切りで、「峠」は2022年になります。先日、さっそく「燃えよ剣」を鑑賞してきました。とても面白かったです。ただしネットの映画評は「並」。司馬ファンのハードルが高いのと、原作未読の人が観ても話の流れについていけない、というのが原因だと勝手に想像しています。しかし、激変の時代観、幕末の京都再現、斬り合いシーンのド迫力は、大いに評価できます。

私は歴史小説が好きで、司馬遼太郎の本はほぼ全て読んでいます。特に好きなのが、「関ヶ原」、「燃えよ剣」、「坂の上の雲」の3つ。他にも、「国盗り物語」、「城塞」、「翔ぶが如く」なども好きです。「峠」もいい。偏りを恐れない人物描写が好きです。人間の強みと弱みを両方書ける。そのあたりは、歴史書ではなく小説です。新選組も中から書く場合と、外から書く場合で全然印象が違います。もちろん「燃えよ剣」は内側から。そうなると青春群像になります。挫折、野望、成長、屈折、混乱。途中までは、よく言う「ヒーローズジャーニー」に近いです。「地元→旅立ち→師匠→デーモン(挫折)→デーモン(打倒)→凱旋」という、多くの神話体系の流れで、スターウォーズなどもこのシナリオです。新選組だと、「多摩→京都→幕府→薩長」と途中まで英雄物語ですが、戊辰戦争でご破算。滅びです。世の中の大きな変化には抗えなかった。

今の世の中、自分たちの時代を「太平の世」などと言う人はいません。常に「激動の時代」、「未曾有の大変革」などと表現する。しかし「維新」や「敗戦」などは激変を超えて、上下左右の反転です。正義を含めて価値観自体が変わってしまう。真逆になる。そんな時代を経験した人が少なくなり、これから私たちが語る「反転の歴史」は、「書物の記録」になっていきます。新選組は、時代に追いつこうとしたけど、追い抜けなかったんだなあ。まあ、純粋に小説や映画として楽しみましょう。

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