はじめに
「ロープレは何度も練習しているのに、なかなか上達している気がしない」
「フィードバックをもらっても、次に何を変えればいいのかわからない」
キャリアコンサルタント試験の実技対策を進めるなかで、こんな悩みを抱えていませんか。
私も、試験前、なかなか上達を感じられないロープレに不安を感じていました。だからこそ、練習を重ねても手応えがつかめない時期のもどかしさや、どこを直せばいいのかわからない不安は、決して他人事ではないと感じています。
この記事では、ロープレが上達しにくい理由を整理したうえで、次の練習からすぐ試せる5ステップの練習方法を、具体的な応答例を交えて紹介します。
読み終えるころには、「次のロープレで何を意識すればいいか」が一つ決まっているようになれば嬉しいです!
ロープレを上達させるには、やみくもに回数をこなすのではなく、改善点を意識して練習を重ねることが重要
ロープレの練習を重ねているのに上達を感じられないとき、「自分には向いていないのかも」と考えてしまう方は少なくありません。でも、練習しているのに手応えがないのは、努力が足りないからではありません。
多くの場合、次のような状態になっています。
・練習回数は重ねているが、毎回なんとなく終わっている
・フィードバックはもらうが、次に何を変えるかが決まっていない
・質問が続いてしまう、話が堂々巡りになるといった同じ場面で、毎回つまずいている
・課題はわかっているつもりだが、本番さながらの場面になると改善できない
つまり、練習量の問題というより、練習から「次の行動」を取り出せていないことが、上達を感じにくくしている一因だと考えられます。
ロープレは「実践→振り返り→改善→再実践」で伸ばす
回数をこなすこと自体はとても大切です。練習を重ねるからこそ、面談の流れをつかんだり、相談者の話を聴く感覚が育ったりします。そのうえで、毎回の練習を次のサイクルにしていくことが上達につながります。
実践 → 振り返り → 改善 → 再実践
この記事では、このサイクルを回すための具体的な方法をお伝えします。
なぜロープレを繰り返すだけでは合格に近づけないのか
練習を繰り返すだけでは伸びにくい背景には、次のような「つまずきポイント」があります。心当たりがないか、自分の練習を思い出しながら読んでみてください。
ーうまく話すことが目的になってしまう
ロープレでは、つい「会話を途切れさせないこと」「上手な質問をすること」に意識が向きがちです。沈黙が怖くて質問を重ねたり、よい質問をしなければと力が入ったりするのは、真面目に取り組んでいる人ほど起こりやすいことです。
しかし、キャリアコンサルタントの面談は、質問を上手に繰り出すことや、決められた手順を機械的にこなすことが目的ではありません。相談者の話を聴き、その言葉や感情、背景を理解しながら、対話を通じて相談者が自分自身への理解を深めていくことが大切です。「うまく話す」ことが目的になると、肝心の相談者が置き去りになってしまいます。
ー相談者の話を聴くことより、次の質問を考えてしまう
相談者の話を聞きながら、頭の中では「次は何を聞こう」「この話をどう展開しよう」と考えている。そんな経験はないでしょうか。
次の質問を考えることに意識が向くと、相談者の言葉の選び方や声のトーン、ふと表れた感情への注意が薄れます。その結果、相談者にとっては「話を聞いてもらえている」という実感が持ちにくくなってしまいます。
ーフィードバックを受けても、改善行動が曖昧なまま終わる
「もっと傾聴しましょう」「質問を工夫しましょう」といった助言は、間違いではありません。ただ、抽象的なままでは、次の練習で何を変えればいいのかわかりません。
大切なのは、助言を具体的な行動に置き換えることです。たとえば「傾聴する」なら、「質問の前に、相談者の言葉を一度受け止めて返す」まで落とし込んではじめて、次の練習で実行できる目標になります。
ー自分の癖に気づかず、同じパターンを繰り返してしまう
ロープレ中の行動は、自分ではなかなか気づけないものです。たとえば、次のような癖です。
・質問が続き、一問一答のようになる
・相談者の話を十分に聴く前に、助言や提案をしてしまう
・相談者の話を先回りして解釈し、「きっとこういうことですよね」と決めてしまう
・相談者の言葉を受け止めずに、次の話題へ移る
こうした癖は、本人に悪気がなくても、気づかないまま繰り返されます。回数を重ねても変わらないのは、癖に気づく機会がないまま練習が続いているからかもしれません。
ー次に何を言うか考えすぎて、相談者との対話のリズムが乱れてしまう
次の質問や応答を考えることに意識が向きすぎると、相談者の言葉を受け止める「間」がなくなります。応答が相談者の発言と少しずれたり、会話のテンポがぎこちなくなったりするのもそのためです。
ここで誤解しないでほしいのは、「次の質問を考えること自体がいけない」わけではない、ということです。面談を進める視点を持つことは必要です。大切なのは、相談者の話を理解することと、面談を進めることのバランスです。理解が先にあり、そのうえで必要な質問が生まれる。その順番を意識するだけでも、対話のリズムは変わってきます。
合格に近づくロープレ練習の5ステップ
ここからは、実際に練習で使える方法を紹介します。練習前の準備としてSTEP0を置き、STEP1〜STEP5を練習サイクルの5ステップとして整理しました。
※※なお、ここで紹介する振り返りの視点は、あくまで自主練習用のものです。実技試験の公式な評価基準とは別物ですので、試験の評価の観点については、必ず試験実施団体が公表している情報を確認してください。
STEP0 まずは自分の課題を明確にする
練習の前に、まず自分の課題を具体的に捉えましょう。「傾聴が苦手」「質問が下手」といった抽象的な言葉で終わらせず、実際の面談で自分がどんな行動をしているかまで掘り下げることがポイントです。
よくある課題を整理しました。自分の練習を思い出しながら、当てはまるものがないか見てみてください。
課題 実際に起きていること 改善の方向性
話が堂々巡りになる 同じ話題を繰り返し、 これまでの話を整理し、
相談者の理解が深まらない 相談者の認識を確認する
質問が続いてしまう 一問一答になり、相談者が 質問の前に相手の言葉を
話を深めにくい 受け止めて返す
次の質問を 相談者の話を聴きながら 相談者の言葉や感情に
考えてしまう 次の質問を考えている 注意を向ける
早く解決しようと 十分に理解する前に 相談者が何に困りどう
してしまう 助言や提案をする 感じているかを確認する
沈黙が怖い 間が空くと焦って 相談者が考え、
質問や説明を重ねる 言葉にする時間を待つ
いかがでしょうか。
直近の練習を一つ思い浮かべて、「どの場面で、自分は何をしていたか」を書き出してみましょう。「あの場面で、立て続けに3つ質問していた」のように、具体的な場面と行動で書けると、課題がぐっとはっきりします。
STEP1 練習前に今日の目標を一つ決める
課題が見えてきても、一度にすべてを直そうとすると、結局どれも意識できずに終わってしまいます。練習前に、今回意識する行動を一つだけ決めましょう。
たとえば、次のような目標です。
・質問を続ける前に、一度相談者の言葉を受け止めて返す
・相談者が使った感情を表す言葉に注目する
・沈黙が生まれたら、数秒待ってみる
「うまくやる」ではなく、実際に行動で確認できる目標にするのがコツです。目標が一つに絞られているから、終わってから「できたか、できなかったか」を振り返ることができます。
STEP2 ロープレ中は相談者の言葉と感情に注目する
ロープレ中は、次の質問を考えることよりも、相談者が何を話しているか、どんな気持ちが表れているかに注意を向けてみましょう。
意識するポイントは、たとえば次のようなものです。
相談者が繰り返している言葉は何か
話し方や表情から、どんな気持ちが伝わってくるか
話の中で、声のトーンが変わった場面はあったか
次の質問が思い浮かんでも、慌てて口に出さなくて構いません。まず相談者の話を受け止め、そのうえで必要な質問を選ぶ。そんな順番を意識するだけで、対話の質は変わってきます。
STEP3 終了後に自分の面談を振り返る
練習が終わったら、記憶が新しいうちに振り返りをしましょう。「うまくできなかった」という感想で終わらせず、具体的な場面と行動を思い出すのがポイントです。次の3つに分けて整理してみてください。
うまくいったこと:相談者の表情が和らいだ場面、話が深まった応答など
課題が表れた場面:質問が続いた、話が止まった、焦って助言した場面など
次回に改善したいこと:その場面で、どう応答してみたいか
可能であれば、ロープレの録音や録画を見返したり、逐語録(やり取りを文字に起こしたもの)を作ったりすると、自分の応答の癖が見えやすくなります。「できていること」も必ず書き出しましょう。強みを知ることも、次の練習の土台になります。
STEP4 フィードバックから改善点を一つ選ぶ
相談者役や見学者、講師など、第三者からのフィードバックは、自分では気づけない点を知る貴重な機会です。ただし、いただいた指摘をすべて一度に直そうとする必要はありません。
おすすめの進め方は、次のとおりです。
・もらった指摘をすべて書き出す
・自分の振り返りと重なる点があるか確認する
・次の練習で「一番効果がありそうなもの」を一つ選ぶ
・それを具体的な行動に言い換える
たとえば、「もっと傾聴を」という指摘なら、「質問の前に、相談者の言葉を一度要約して返す」と言い換えます。次の練習でそのまま実行できる形にすることが大切です。
STEP5 同じ課題を意識してもう一度練習する
改善点が決まったら、同じ課題を意識して、もう一度練習してみましょう。ここが「実践→振り返り→改善→再実践」のサイクルの要です。
再練習のあとは、前回と比べて何が変わったかを確認します。
・質問が続く場面は減ったか
・受け止めの言葉を返したとき、相談者の反応はどう変わったか
・対話のリズムに変化はあったか
すぐに変化が出なくても心配はいりません。「少し意識できた」「前より間を取れた」という小さな変化を確認しながら、サイクルを回していくことが大切です。
具体例で解説!ロープレの振り返りと改善方法
ここからは、STEP0〜5を踏まえて、具体的な応答例で考えてみましょう。
「質問ばかりしてしまう」という課題
「質問ばかりしてしまう」という課題は、多くの方が経験するものです。
質問すること自体は悪いことではありません。状況を理解するために質問は欠かせません。ただ、質問が続くと、相談者は「聞かれたことに答える」状態になり、自分の気持ちや考えを整理する余裕が少なくなります。
「話を聴く」ことは、相談者の言葉や感情を受け止め、理解したことを返すことでもあります。質問と傾聴は対立するものではなく、受け止めがあるからこそ質問が生きる、という関係です。
改善前と改善後の応答を比較する
次の場面で、応答を比べてみましょう。
【相談者の発言】
「子どもが生まれてから、以前のように仕事に打ち込めなくなってしまって。周りは頑張っているのに、自分だけ取り残されているような気がします」
【改善前の応答例】
キャリアコンサルタント:「仕事に打ち込めなくなったというのは、具体的にどんなことですか?」
相談者:「以前は残業もできたんですけど、今は保育園のお迎えがあるので、早く帰らないといけなくて……」
キャリアコンサルタント:「職場では、時短勤務を利用されているんですか?」
このやり取りには、次の特徴があります。
・相談者の「取り残されている」という気持ちが、十分に扱われていない
・状況を確認する質問が続き、情報収集に偏っている
・相談者が自分の気持ちを整理する機会が少なくなっている
【改善後の応答例】
キャリアコンサルタント:「お子さんが生まれて働き方が変わったことで、以前のようには仕事に取り組めない。そのことに加えて、周りと比べて取り残されているような気持ちもあるんですね」
相談者:「そうなんです。仕事が嫌になったわけではないんですけど、以前みたいにできない自分がもどかしくて……」
キャリアコンサルタント:「以前のように仕事ができないことが、もどかしいんですね。特に、どんなときにそう感じることが多いですか?」
相談者:「同僚が新しい仕事を任されているのを見るときです。自分も本当は挑戦したいのに、今は無理だと思ってしまって」
改善後の応答には、次の特徴があります。
・相談者の言葉を受け止め、気持ちを言語化して返している
・受け止めを通じて、相談者がさらに自分の思いを話している
・相談者の発言を踏まえて質問しているため、会話が自然につながっている
ここで大切な注意点があります。 改善前の質問が「常に間違い」というわけではありません。状況を具体的に理解するための質問も、面談では重要です。相談者の発言や面談の流れによっては、状況の確認が適切な場面もあるでしょう。
また、改善後の応答例は「正解」として暗記するためのものではありません。どんな言葉を返すかより、「なぜ、ここで受け止めたのか」という意図と判断の仕方を学んでください。相談者が変われば、ふさわしい応答も変わります。
次の練習で試す行動を具体的に決める
この事例を踏まえて、次のロープレで試せる行動を挙げてみます。
・相談者の発言をすぐに質問へつなげず、まず一度受け止めて返す
・相談者が使った感情表現(「取り残された」「もどかしい」など)に注目する
・自分の質問が、直前の相談者の発言とつながっているか確認する
この中から、今の自分に合うものを一つ選んで、次の練習の目標にしてみてください。
ロープレは、一回ごとの改善の積み重ねで変わる
次の練習で実践したい3つのこと
記事全体を振り返り、次の練習で実行したいことを3つに整理します。
1.課題を具体的な行動で捉える:「傾聴が苦手」ではなく、「質問が3回続いていた」のように場面と行動で振り返る
2.練習前に目標を一つに絞る:「質問の前に、一度受け止めて返す」など、実行できる形にする
3.同じ課題でもう一度練習する:前回と何が変わったかを確認し、サイクルを回す
自分だけでは改善点が見つからないときは、客観的なフィードバックを活用する
自分で振り返ることは、上達のためにとても大切です。ただ、自分では気づきにくい癖や、相談者との対話のリズムなどは、第三者の視点だからこそ気づけることもあります。
「自分では丁寧に聴いているつもりだった応答が、相手にはこう伝わっていた」といった発見は、一人で練習しているとなかなか得られません。振り返りで行き詰まったときは、第三者のフィードバックを取り入れてみるのも一つの方法です。
ロープレ練習のご案内
まずは、この記事で紹介した方法を、次の練習で一つ試してみてください。課題を具体的に捉え、目標を一つ決めて練習するだけでも、ロープレの手応えは変わってきます。
そのうえで、「自分で振り返ってみても、どこを改善すればよいのかわからない」「自分の応答が相談者にどう伝わっているのか、客観的な意見を聞いてみたい」と感じる方は、第三者と一緒にロープレを振り返ってみるのも一つの方法です。
ロープレ練習では、実際の面談を通じて、自分では気づきにくい癖や、すでにできていること、次に取り組みたい課題を整理するお手伝いをしています。自分の強みと改善点を整理し、次の練習につなげていただくためのサービスです。
一人での練習に加えて、客観的なフィードバックも取り入れてみたい方は、ぜひサービスの詳細をご覧ください。
最後までおよみいただきありがとうございました!