はじめに
私はこれまで、「物を得ることで安心する」という生き方をずっと続けてきました。
子どもの頃、何かを買ってもらえたり、自分で手に入れたときだけ、
ほんの少しだけ「安心できた」感覚がありました。
「物さえあれば、落ち着ける」
「これを持っていれば、大丈夫な気がする」
そう思って、大人になった今も、浪費がやめられず、貯金もできない。
本当は物じゃなくて、心がほしい。でもどうしたらやめられるのか、ずっとわからなかった。
■ なぜ、物を得ることで安心してしまうのか?
それは、「物=愛」「物=安心」と、心と身体が強く覚えてしまったからです。
幼いころ、暴力や怒声が飛び交う日常の中で
何かをもらえた瞬間だけは、
「見てもらえた」
「存在を許された気がした」
「自分には価値があるのかもしれない」と思えた
その安心の一瞬が、あまりに貴重で、脳が学習してしまった。
「もらうこと=愛」「物=安心」「得ること=価値の証明」
この感覚は、ただの「物欲」でも「依存」でもない。
わたしが心を守るため、生き延びるために選んだ、唯一の方法だったんです。
■ それでも、「もうこのままじゃつらい」と思った
私は虐待の影響で、常に孤独感と無価値感を抱えていました。
劣等感が奥底に根を張っていて、いつも心がざわざわしていて、
「私なんか…」という気持ちと「もっと認められたい!」という承認欲求が両方あって苦しかった。
そんな中で、物を得たときだけ、ふっと安心できる瞬間があった。
でもそれは、ほんの一瞬で、またすぐに「何か足りない」と感じてしまう。
「また買ってしまった」
「また満たされなかった」
「でも、手放すのがこわい」
そんな心のループの中で、私はようやくこう思ったんです。
「このままじゃつらい」
「もう物でごまかしたくない」
「私の心を、ちゃんと見てあげたい」
■ 感情の“換金”という考え方に出会って
そんなとき出会ったのが、「感情の換金」という考え方でした。
これは、「物で埋めようとしていた感情」にちゃんと名前をつけて、
自分の中で“言葉に換える”という方法です。
たとえば、買い物をしたくなったとき。
実際に欲しいのは物じゃなくて、
「寂しい」
「誰かに見てほしい」
「ちゃんとここにいていいって思いたい」
「今日、よく頑張ったって言ってほしい」
そんな“気持ちの叫び”だったりする。
でも、そのままでは感じきれなくて、無意識に「物」で置き換えていたんです。
■ 感情の換金とは「心の通訳」をしてあげること
感情の換金というのは、
「衝動」を“そのまま”で終わらせずに、心の声を翻訳してあげること。
物が欲しい!
→ なぜ?
→ 安心したいの?
→ ひとりが怖いの?
→ それとも、自分にOKを出せないくらい疲れてるの?
この問いかけは、一種の“心の通訳”。
言葉にならなかった感情に「意味」を与えてあげることで、
物に頼らなくても自分のことを理解し、慰める力が育っていきます。
■ 【ワーク】感情の換金リストをつくってみた
そこで私は、物欲の衝動が出てきたときにすぐ見返せるよう、
自分のための「感情の換金リスト」を作るようになりました。
● 寂しいとき
→ 誰かと軽くやりとりする(LINE・SNS)
→ 自分に「今は一人だけど、ちゃんとここにいるよ」と声をかける
→ お気に入りの音楽や、毛布にくるまる安心感を味わう
● 無価値感を感じたとき
→ 今日の“できたこと”を1つだけメモに書く
→ 「生きてるだけで十分」と小さくつぶやく
→ 自分に「大丈夫、ここにいていいよ」と許可を出す
● 買いたくなったとき
→ 「何を得ようとしてる?」と問いかける
→ 10分タイマーをかけて、深呼吸と身体をゆるめる
→「これは“物”じゃなく、“感情のSOS”かもしれない」と思い出す
このリストをつくることで、
“反射的な行動”にブレーキをかけられるようになり、
その瞬間の衝動がやわらぐようになってきました。
■ 【記録】物じゃなくて安心できた体験を書いていく
私は日記やメモに、
「今日は物を使わずに安心できたこと」を記録しています。
ゆっくりお茶を飲んだ
好きな服を眺めるだけにした
湯船にちゃんと浸かった
誰にも会わなかったけど、生きてた
これらは小さな「成功体験」。
“物以外でも満たされる”という感覚を、身体と心に刻む時間なんです。
■ 【今日の結論】
私は今も、時々「何かを得たくなる衝動」に襲われます。
でも、そんなときはすこし立ち止まって、自分にこう問いかけています。
「いま、ほんとうに欲しかったのは何?」
「物じゃなくて、“私を安心させる方法”は他にもある?」
「買う前に、まず“こころ”に聞いてみよう」
その問いかけができるようになっただけでも、
わたしにとっては大きな前進です。
「私は、もう“物”以外でも満たされるんだ」
それに気づけたことが、わたしにとってのはじまりです。
次回予告
第4回では、
「それでも、物が欲しい!」と叫ぶ怒りのエネルギーと向き合った時間
愛されなかった悔しさ、わかってほしかった気持ち。
そして、物欲の裏にあった“叫び”について綴っていきます。