求人広告の営業メールって、定期的に届きますよね。
「今なら掲載費がお得です」
「この媒体なら若手採用に強いです」
「スカウトを使えば経験者へ直接アプローチできます」
採用に困っている時ほど、こういう案内を見ると少し心が動きます。
今の媒体で応募が来ないなら、別の媒体へ出してみよう。Indeedが弱いなら求人サイトを追加して、人材紹介も使って、それでも足りなければSNSも始めてみよう。
やっていること自体は間違っていないんです。
ただ、僕が最近思うのは、
「採れない会社ほど、採用方法を足しすぎていることもあるんじゃないか」
ということでした。
僕はこれを勝手に、
「採用足し算病」
と呼んでいます。
採用できないから方法を増やす。方法が増えるから担当者の仕事も増える。それでも採れないから、さらに別の手段を追加する。
気づけば、求人媒体の管理だけで人事担当者が疲れている。
もしそんな状態なら、採用方法を増やす前に一度整理した方がいいかもしれません。
◆採用方法って、思っている以上にたくさんある
ネットでは、中途採用の方法として求人広告だけではなく、検索型求人、人材紹介、ダイレクトリクルーティング、リファラル、SNS、自社メディア、ハローワーク、ヘッドハンティング、ミートアップ、副業・業務委託からの正社員登用など、幅広い方法が紹介されています。
これを見た時、
「そりゃ採用担当者も迷うよな」
と思いました。
選択肢が少ないなら楽なんです。
AかBか。
どちらかを選べばいい。
ただ今は、
求人広告もある。
Indeedもある。
人材紹介もある。
スカウトもある。
SNSもある。
社員紹介もある。
元社員へ声をかける方法もある。
選択肢が多いからこそ、
何をやるかより、何をやらないか
の方が難しくなっています。
◆安い方法が、本当に安いとは限らない
採用について考える時、どうしても料金が目に入ります。
人材紹介は高い。
ハローワークは無料。
SNSも基本的には無料。
だったら無料の方法から使えばいいと思いますよね。
ただ、資料の比較を見ると、そんなに単純ではありません。
例えば人材紹介は採用成功時の費用が高くなりやすい一方、候補者探しにかかる社内の手間を減らしやすい方法です。資料では、理論年収の約35%を成果報酬として支払う例が紹介されています。
一方、ダイレクトリクルーティングは自社に合う人へ直接声をかけられる反面、候補者探しやスカウト文作成に時間がかかります。
SNS採用も同じです。
媒体費そのものは抑えやすい。ただ、継続して投稿を作ったり、アカウントを運用したりする人の時間は必要です。短期間ですぐ結果が出る方法でもありません。
つまり、
0円だから安い
とは限らないんですよね。
担当者が毎月30時間使っていたら、その30時間も会社の負担です。
ここを無視して広告費だけ比較すると、意外と高い採用になっていることがあります。
◆求人広告は悪くない。ただ「待つ採用」に偏りやすい
求人広告には大きなメリットがあります。
登録者が多い媒体なら、一度に多くの求職者へ見てもらいやすい。複数人採用しても掲載料金が変わらない場合もあります。
一方で、掲載企業が多いため競合に埋もれたり、採用できなくても掲載費が発生したり、有効応募ではない人への対応が増えたりする可能性があります。
ここを読んでいて感じたのが、
求人広告は
「人を待つ方法」
なんですよね。
もちろん、それで採れる会社もあります。
一方、
待っていても来ない職種。
経験者。
管理職。
専門人材。
こういった採用では、企業側から探しに行った方がいい場合もあります。
そこでダイレクトリクルーティングやヘッドハンティングが出てくる。
採用方法には、それぞれ得意な仕事があります。
問題は、
どんな人を採りたいのかを決めずに媒体だけ選ぶことです。
◆僕が面白いと思ったのは「社内にいる人」から探す方法
個人的に斬新だなと思ったのが、
リファラル採用。
副業・業務委託からの正社員登用。
アルムナイ採用。
このあたりです。
リファラル採用は、社員から友人や知人を紹介してもらう方法です。価値観の近い人材と出会いやすく、採用費も抑えやすい一方、社員の協力が必要になります。
副業や業務委託からの登用も面白いです。
すでに一緒に仕事をした経験があるため、仕事内容や会社の雰囲気を理解した状態で正社員になってもらえる。資料でも、採用後の教育負担を抑えやすい方法として紹介されています。
アルムナイ採用は、一度退職した社員に戻ってきてもらう方法です。
元社員なので会社のことを理解しているうえに、外で得た経験も持ち帰ってくれる可能性があります。
ここでちょっと思ったんです。
採用って、
「まだ会ったことのない人を探すこと」
だと思い込みやすいですよね。
ただ実際には、
社員の知人。
今働いている業務委託。
以前働いていた社員。
すでに会社の近くにいる人材から採用する方法もある。
これ、意外と見落とされやすい気がします。
◆SNS採用は「今すぐ転職しない人」とつながれる
SNS採用にも独特の強みがあります。
求人サイトを見る人って、基本的には転職を意識している人が多いですよね。
一方SNSは違います。
今すぐ転職する予定はない。
ただ、良い会社があれば少し気になる。
そんな人も普通に見ています。
SNSは転職をまだ強く意識していない層へ接触できる点や、企業の認知、ブランディングに使える点がメリット。
これって結構大きいですよね!
例えば、
会社の日常。
社員の考え。
仕事の裏側。
社長が何を大切にしているか。
こういう情報を普段から発信しておく。
そして半年後、その人が転職を考えた時に、
「あの会社、ちょっと気になってたんだよな」
と思い出してもらえる。
求人を出してから初めて知ってもらう会社と、半年間SNSを見てもらっていた会社。
同じ条件なら、後者の方が安心感を持ってもらいやすいですよね。
SNS採用は、
求人を毎日投稿する方法というより、
「転職する前から会社を知ってもらう方法」
として考えた方が僕は好きです。
◆結局、一番大事なのは「自社に合うか」
ネットの方で各採用方法を
採用コスト。
社内の手間。
集められる人数。
人材の質。
といった観点から比較した表があります。
当然ですが、
全部◎の方法はありません。
安いけれど時間がかかる。
高いけれど担当者はラク。
たくさん応募が来るけれど、自社に合う人は少ない。
人数は集まりにくいけれど、相性のいい人と出会いやすい。
何かを取れば、何かが弱くなる。
当たり前の話なんですが、採用に困っている時ほど忘れます。
「応募が来ない!」
となった瞬間に、
媒体を増やしたくなるんですよね。
で、そこで採用足し算病が始まる。
◆求人媒体を追加する前に、僕なら4つ確認する
採用方法を選ぶ時に確認する項目として、
◆ 採りたい人物像
◆ 予算
◆ 採用したい時期や人数
◆ 採用へ使える社内の時間
が挙げられています。
僕なら、この4つを紙に書いてから媒体を選びます。
例えば、
経験者を半年以内に1人採りたい。
採用担当者は他の仕事も抱えていて、毎日スカウトを送る時間はない。
この会社に、
「ダイレクトリクルーティングなら質の高い人へ直接声をかけられますよ」
と言っても、
そもそも運用できないかもしれません。
逆に社内に採用担当者がいて、時間はあるけれど広告予算が少ないなら、話は変わります。
良い採用方法を探すより、
自社が続けられる方法を選ぶ。
ここがかなり重要だと思います。
◆採用がうまくいかない会社ほど「媒体」ではなく「組み合わせ」を見た方がいい
今回30ページの資料を読んでいて、僕が一番感じたのはこれでした。
求人広告か。
人材紹介か。
SNSか。
ハローワークか。
この中から正解を1つ選ぼうとすると、難しいんです。
求人広告で今すぐ転職したい人へ届ける。
SNSでまだ転職を考えていない人へ会社を知ってもらう。
社員紹介で相性の良い人へつながる。
自社ブログで仕事内容や会社の考えを詳しく伝える。
それぞれ得意な役割が違います。
だから、
「どの媒体が一番採れますか?」
より、
「自社の場合、何と何を組み合わせると無理なく続けられるか?」
と考えた方が現実的です。
◆最後に|採用は足し算より「引き算」の方が難しい
最初に話した求人広告の営業メール。
「この媒体も使った方がいいですよ」
「このサービスなら採用できますよ」
採用に困っている時ほど魅力的に見えます。
ただ、媒体を3つ使っている会社が4つ目を追加する前に、
今の3つをちゃんと使えているのか。
一度確認してみてもいいと思います。
応募が来ている媒体。
来ていない媒体。
時間ばかり使っている媒体。
欲しい人材と出会えている方法。
全部並べてみる。
すると、
増やすべきものより、
やめてもいいものが見つかるかもしれません。
採用って、人を増やす仕事なのに、
採用方法まで増やしすぎると会社が疲れてしまう。
なんとも不思議な話です。
僕なら次に求人媒体の営業メールが来ても、
すぐ申し込む前に、
「今ある採用方法、ちゃんと働いてるかな?」
と先に考えると思います。