誤ったこだわりは、応募効果不振を招く。

誤ったこだわりは、応募効果不振を招く。

記事
ビジネス・マーケティング
とある大手派遣会社様に、営業として同行したときの話です。
今まで長年お付き合いしていた他社から乗り換えたいというご相談をいただき、意気込んで訪問しました。

その会社は非常にたくさんの求人を出しているにもかかわらず、広告の窓口担当者は1人——仮にKさんとしましょう。Kさんは複数の媒体を兼任し、1週間で何百本もの原稿をたった1人で回されている方でした。

そのためKさんは、「自分は応募効果獲得のノウハウについては誰よりも知っている」と強い自負を持っていらっしゃいました。 当時は「ものすごい熱量だな」と感じつつも、どこかキナ臭さを覚えたのを記憶しています。

ヘンなこだわりは自分の首をしめる

その会社が出稿していたのは、文字数が限られる比較的小さな枠でした。その小さな枠を何百本も展開する王道の正攻法です。

限られたリソースの中で膨大な本数を回す必要があるにもかかわらず、Kさんは表現にものすごく強いこだわりを持っていらっしゃいました。

「欲しい人材に見てもらえるために、何を訴求すべきか?」
「どんなメッセージが心に刺さるのか?」
本来であれば、案件の魅力やターゲット設計といった「本質」を一緒に深掘りしていきたいところです。しかし、Kさんのこだわりのベクトルは少し違ったところにありました。

文字だらけで読みづらくならないよう、アイキャッチとして「★」や「◎」といった記号を使うのですが、Kさんはその記号の配置やチョイスに異常なまでのこだわりがあったのです。

「ここは◎じゃなくて★のほうがよくない?」

「同じ記号が続くと効果が下がるから別のものにして」

「その記号を使う根拠を教えて!」

……正直、記号のチョイスに絶対的な正解などありません。 もちろん、ABテストを繰り返して自社なりの勝ちパターンのデータを持っているなら話は別ですが、そうした共有があるわけでもなく、個人の感覚やこだわりが優先されていきました。

読者は、広告の記号を見て応募するかどうかを決めるわけではありません。あくまで仕事内容や条件、職場の雰囲気に惹かれて応募します。記号はあくまで、小さな枠の中で文字を目立たせるための「補助輪」に過ぎないからです。

しかし、Kさんのこだわりを前に、私たちはプロとして十分な提案を通しきることができぬまま、言われるがままの運用を続けることになってしまいました。

プロとして、何にこだわるべきか

その後、お付き合いは1年ほどで終了し、また別の媒体へと離れていってしまいました。そしてその商談から数年後、その派遣会社は倒産してしまいました…。

この経験を通じて痛感したのは、「手段の目的化」の恐ろしさです。

表現にこだわること自体は決して悪いことではありません。しかし、限られた時間やリソースの中で成果を最大化するためには、細かい装飾よりも、案件の魅力やターゲットへの訴求内容に集中すべきです。

「自分のこだわり」を優先するあまり、本来見るべき本質を見失ってしまう。 これは求人広告の現場に限らず、あらゆるビジネスにおいて私たちが陥りがちな罠なのだと、今でも時折思い出すエピソードです。

お読みいただき、ありがとうございました!
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