「GA4では問い合わせが12件。でもGoogle広告の管理画面では7件」
「どっちを信じればいいのか分からないまま、なんとなく多いほうを見ている」
自社で広告を運用していると、かなりの確率でこの状態になります。そして多くの場合、どちらかが壊れているわけではありません。
先に結論をお伝えします。GA4とGoogle広告のコンバージョン数は、両方を正しく設定しても一致しません。 集計のルールがそもそも違うからです。
問題は数字がズレることではなく、「ズレて当然の差」と「設定ミスによる差」を区別できていないことです。区別がつかないと、正常な状態を直そうとして設定を壊してしまいます。
この記事では、まず「ズレて正常」の仕組みを説明し、そのうえで設定ミスを疑うべき4か所を順番に見ていきます。
そもそも、なぜ一致しないのか
理由は3つあります。ここを理解しておくと、あとの判断が一気に楽になります。
理由1:成果を「いつの日付」に付けるかが違う
これが一番大きな差の原因です。
Google広告は、クリックされた日にコンバージョンを記録します。8月1日に広告をクリックした人が、8月5日に問い合わせた場合、その1件は8月1日の成果として管理画面に入ります。
GA4は、問い合わせが発生した日に記録します。同じケースなら8月5日です。
つまり、同じ1件でも日付が違うところに入ります。1日単位や1週間単位で比べると、これだけで数字は合いません。
日をまたいで検討する商材ほど、この差は大きくなります。 その場で決める商材(飲食の予約など)より、比較検討する商材(リフォーム、士業への相談、高額サービス)のほうがズレます。
理由2:成果を「誰の手柄」にするかが違う
ユーザーが「Google広告 → 後日Instagram → 後日検索して再訪問 → 問い合わせ」と動いたとき、この1件をどのチャネルの成果にするか。この配分ルール(アトリビューション)が両者で異なります。
Google広告は自分の広告経由のクリックを基準に数えます。GA4は複数チャネルへの配分を含めて集計します。結果として、GA4のほうが広告の数字が小さく出ることがよくあります。
理由3:計測できる範囲が違う
Google広告のタグはクリックに付く識別子(gclid)を使って追跡します。GA4はサイト内の行動を追跡します。ブラウザの制限やCookieの扱いで、それぞれ取りこぼす場面が違います。
では、ズレの許容範囲は
目安として、月単位で比べて1〜2割程度の差なら設定ミスを疑う段階ではありません。
逆に、次のような差は「ズレ」ではなく異常です。
・片方が0、もう片方に数字がある
・片方がもう片方のちょうど2倍前後になっている
・実際の問い合わせ件数と、どちらもまったく合っていない
この3つに当てはまるなら、以下の4か所を確認してください。
確認1:自動タグ設定(gclid)がオンになっているか
ここが切れていると、GA4側で「Google広告経由」が正しく分類されません。
自動タグ設定は、広告のリンク先URLにクリック固有の識別子を自動で付ける機能です。これがオフだと、GA4は広告からの訪問を「検索エンジンからの自然流入」として数えてしまうことがあります。
すると、GA4の広告レポートだけ極端に少なくなります。
・ 確認場所:Google広告の設定画面にある自動タグ設定の項目(メニュー名は変更されることがあります。要確認)
・ あるべき状態:オン
なお、サイト側でURLの余計なパラメータを削除する設定が入っていると、せっかく付いた識別子が消えることがあります。カートやフォームのシステムを使っている場合は、そちらの仕様も確認が必要です。
確認2:GA4とGoogle広告がリンクされているか
アカウント同士が結びついていなければ、データは行き来しません。
・ 確認場所:GA4の管理画面にある「Google広告とのリンク」(名称は変更されることがあります。要確認)
・ あるべき状態:対象のGoogle広告アカウントが一覧に表示されている
見落としやすいのが権限です。リンク操作には、GA4側とGoogle広告側の両方で管理権限が必要です。制作会社に作ってもらったGA4を使っている場合、閲覧権限しか持っていなくてリンクできない、というケースは珍しくありません。
「設定しようとしたらボタンが押せない」なら、まず自分の権限を確認してください。
確認3:キーイベントの設定
GA4では、計測したい行動を「キーイベント」として指定します(旧「コンバージョン」から名称が変わっています。要確認)。
ここでのつまずきは2段階あります。
段階1:イベントが記録されているか
そもそも問い合わせ完了の動きがイベントとして飛んでいるか。GA4のリアルタイムレポートを開いた状態で、自分でテスト送信すると確認できます。ここで何も出なければ、キーイベント以前の問題です。
段階2:そのイベントがキーイベントに指定されているか
イベントは飛んでいるのに、キーイベントのスイッチがオフのままというケースです。この場合、GA4の画面にはイベントとして出るのに、コンバージョンとしては数えられません。
イベント名が漠然としていないか
page_view や form_submit のような一般的な名前のまま、サイト内のすべてのフォームをまとめて1つのキーイベントにしていると、問い合わせも、資料請求も、メルマガ登録も全部同じ数字になります。
Google広告側で見たい成果が「問い合わせ」だけなら、そこだけを切り出したイベント名を用意してください。ここを分けていないことが、数字が実態より大きく見える原因になっていることがあります。
確認4:二重計測になっていないか
数字が実態のちょうど2倍前後なら、まずこれを疑ってください。
よくあるのは、同じ問い合わせを次の2経路で取っている状態です。
1. Google広告のコンバージョンタグを直接サイトに設置している
2. GA4のキーイベントをGoogle広告にインポートしている
どちらも「主要な操作(メインのコンバージョン)」に設定されていると、1件の問い合わせが2件として数えられます。CPAは実際の半分に見え、自動入札も誤った学習をします。
どちらを残すか
どちらが正しいかではなく、何を見たいかで決めます。
・ **Google広告のタグを残す** … 広告の成果だけをシンプルに見たい場合。経路が短くズレが少ない
・ **GA4のインポートを残す** … 複数媒体をまとめて同じ基準で比べたい場合
片方に決めたら、もう片方は削除ではなく「副次的な操作」に変更しておくと、記録は残しつつ二重カウントを止められます(設定項目の名称は変更されることがあります。要確認)。
実際の問い合わせ件数と突き合わせる
ここまでの確認をしても判断がつかないときは、管理画面同士を比べるのをやめて、現実の件数と比べてください。
やり方はシンプルです。
1. 直近1か月の実際の問い合わせ件数を数える(メール、電話メモ、予約システムなど)
2. Google広告のコンバージョン数と比べる
3. GA4のキーイベント数と比べる
実際より多いなら、二重計測か、成果ではない行動(フォームの表示、ボタンのクリックなど)を数えています。
実際より極端に少ないなら、計測できていない経路があります。電話問い合わせ、別ドメインの予約システム、SNSのDMなどが典型です。
この突き合わせは月に一度で十分ですが、これをやっていないと、どんな高度な分析も土台から狂います。
確認チェックリスト
連携の土台
・ [ ] 自動タグ設定がオンになっている
・ [ ] GA4とGoogle広告がリンクされている
・ [ ] 自分にGA4・Google広告両方の管理権限がある
計測の中身
・ [ ] 問い合わせ完了の動きがイベントとして記録されている
・ [ ] そのイベントがキーイベントに指定されている
・ [ ] 見たい成果だけを切り出したイベント名になっている
数字の健全性
・ [ ] 同じ成果を2経路で数えていない
・ [ ] 実際の問い合わせ件数と大きくズレていない
・ [ ] どちらの数字を判断基準にするか決めている
よくある質問
Q. GA4とGoogle広告、どちらの数字で広告を判断すればいいですか
広告の良し悪しを判断するなら、Google広告の数字を基準にするのが分かりやすいです。自動入札もその数字で学習しているため、判断と配信の基準がそろいます。GA4は「広告以外も含めた全体の流れ」を見るときに使ってください。
Q. 過去にさかのぼって直せますか
設定を直しても、それ以前のデータは正しくなりません。壊れていた期間のコンバージョン数とCPAは判断材料から外し、直した日から溜め直すことになります。
Q. 設定を触るのが怖いのですが
先に現状を記録しておくと安全です。変更前の設定画面をスクリーンショットで残しておけば、元に戻せます。特にコンバージョンアクションは、削除ではなく「副次的な操作」への変更で影響を止められます。
まとめ:今日できること
1. 実際の問い合わせ件数を1か月分数える
2. Google広告とGA4、それぞれの数字と並べてみる
3. 実態の2倍前後になっていないか(二重計測)を確認する
4. 自動タグ設定とアカウント連携がオンになっているかを見る
数字が合わないこと自体は、珍しいことでも異常でもありません。どちらを判断の基準にするかを決めないまま運用を続けることのほうが、リスクが大きいです。
自分で確認したけれど原因が分からない、設定を触るのが不安、という場合は「Google広告のCV計測・タグ設定を支援します」で、画面を共有しながら現状の設定を一緒に確認しています。どこでズレが生まれているかを特定し、どちらの数字を基準にすべきかまでご案内します。