なぜ人事評価に不満は多いのか?

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「会社は自分を評価してくれない」「一生懸命仕事しているのに、会社でいい評価がもらえない」など人事評価には様々な不満が付きまとっています。一部の話では会社にいる人のうち6割の人が人事評価に不満を持っているといわれているように、人事評価に不満を持つ人は少なくありません。

とはいえ人事評価は適当につけるものではなく、人事部の人や上司が一生懸命考えて付けたものです。にもかかわらずどうして不満が噴出するのでしょうか。

今回はそうした人事評価の不満についてお話しします。


人事評価の評価基準が不鮮明だから

人事評価に不満を抱く原因は「評価基準が不鮮明」だからです。そもそも会社が何を評価するのか、あなたは知っていますか?たいていは答えられないかと思います。ですが答えられないとしても仕方はありません。そもそも会社が評価基準を明確に示していないからです。

ではなぜ会社は評価基準を提示しないのでしょうか。考えられる理由は2つあり、1つは「評価基準が明確になっていないため言語化できない」ことです。

会社には企業理念があり、達成したい目標がありるため、言い換えれば重宝されるスキルや成果は必ず存在しています。ですが重宝されるスキルや成果があるのは理解しているが、なんとなく程度しかわかっていことが多々あります。

言語化するには伝えることをあらかじめ明確にしていないといけません。明確になっていないものを伝えることはできないため、人事評価の評価基準も伝えられないことになります。

2つ目は「会社の崩壊を引き起こす可能性がある」ためです。評価基準が明確であればそこに向かって頑張ると上がると考える人もいるでしょう。ですが評価基準を明確にしたことによって、会社そのものが崩壊してしまうことがあったりします。

会社がおこなうことは1つだけしかないことはなく、会社の中には様々な仕事が存在しており、すべてをこなさなければいけません。そうした中で評価基準を明確化すると、評価される仕事しか社員はしてくれない場合があります。すると会社はどうなるでしょうか。

仕事の中には評価されなくても処理しなければいけない仕事もあるけれど、そうした仕事が放置されてしまい、結果として会社の崩壊を引き起こすことがあります。

社員の仕事に対する意欲を維持するために、あえて評価基準を明確にしないことは意外とあるのです。

環境に大きく左右される人事評価

人事評価は社員を評価する仕組みですが、評価の中には必ず環境の要素が入ってきます。そのため「評価は人だけでなく環境によっても作られる」といってよいでしょう。

環境として考えられるのが「評価されやすい仕事についているかどうか」です。成果がわかりやすい営業職と、成果がわかりにくい事務職ではどちらのほうが評価されやすいでしょうか。評価方法にもよりますが、営業職のほうが評価されやすいといえます。このように自分が担当している仕事によって評価に差が出てくる場合があります。

もう一つは「評価される顧客がいる環境かどうか」です。同じ営業職であっても担当するエリアにいい顧客がいるかどうかで評価が変わります。例えば同じスキルを持つ営業職が2人おり、1人が優良顧客になる人がいないエリア、もう一人が優良顧客候補が多いエリアにそれぞれ配属されたらどうなるでしょうか。

同じスキルが前提であれば「優良顧客候補が多いエリアに配属された営業職の人」のほうが成果を出しやすいので評価が高くなります。売り上げなど成果として評価されやすい項目で成果は、顧客の存在が欠かせません。

優秀だと評価されていた営業職の人が配置転換で担当エリアが変わったら全く成果をあげなくなった、という話があるように配置場所は評価にとって大切です。

そのため優良顧客に配属されるかどうかの運も、評価にかかわってきます。


人事評価に不満が多いカラクリ

冒頭で「人事評価に6割の人が不満を抱いている」としましたが、なぜ6割もの人が不満を抱いているのでしょうか。

理由は二つほど考えられます。

1つ目の理由は「相手も頑張っている」です。
人事評価で不満を抱いている場合、たいていは「自分はこんなに頑張っているのに、会社は評価してくれない」と思っているはずです。(何もしていないを自覚していれば「評価されない」と思うことはないでしょう。)

ここで気を付けてほしいのが「自分はこんなに頑張っているのに、会社は評価してくれない」という不満を『多くの人』が感じていること。つまりみんな仕事などを頑張っていることになります。

人事評価は基本的に相対的な評価です。そのため自分がどんなに頑張ったとしても、相手が同じくらい頑張ってしまえばいい評価は得られません。

高い評価を得ている人は人事評価に不満を抱きません。

2つ目の理由は「高い評価が得られなかった」ためです。人事評価で不満を感じる人はいますが、「高い評価を得ている人」が人事評価に不満を持つことはあるのでしょうか。「自分は実力以上に評価されているからつらい」と思う人はいないので、高い評価を得ている人で人事評価に不満を抱く人はまずいません。

会社での評価には「2-6-2の法則」が当てはまります。2-6-2の法則は「集団の中で必ず2割の人が優秀で、6割の人が普通で、2割の劣悪が発生する」法則です。どんなに優秀な人たちが集まったとしても、優秀や劣悪は集団内の相対的な評価であることから、必ず2-6-2の法則で分類されます。

人事評価も2-6-2の法則にのっとり2割の高評価、6割の普通評価、2割の低評価が必ず発生します。高評価の人は人事評価に不満を抱かないので、不満を持つのは6割の普通評価の人と2割の低評価の人です。

つまり人事評価は集団の法則によって、必ず8割の人が不満を抱く制度だといえます。全体の6割とは普通評価の人と低評価の人の約3/4となるため、そこに分類している人の過半数が人事評価に不満を持っていることになります。

まとめ

人事評価に不満が出る理由をまとめて紹介してみました。不満が発生する仕組みはわかりました。ではそうした不満を解消するにはどうすればいいでしょうか。

残念ながら人事評価の不満は解消できません。以前不満を解消する目的で成果主義を導入したこともあったのですが、残念ながら別の不満が出るなど解消には至りませんでした。こうした事例からわかるように、人事評価の不満を完全に消すことは不可能です。

人事評価に不満は多くても改善することはかなり困難です。トライしてもいいですが、それなりに苦労することは予想されます。自分のもっているエネルギーをほかに向けたほうがよい場合もあります。そうしたほうがよいときは「評価に不満が出るのは仕方ない」と割り切るようにしたほうがいいかもしれません。

仕組みを理解し、欠点を把握できれば心理的に少しは楽になりますので。

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