本のタイトルは、「脳を知る・創る・守る・育む10」(「脳の世紀」推進会議編 伊藤正男、遠山敦子、貝渕弘三、河野崇、内山真、狩野方伸、津本忠治)です。編集:「脳の世紀」推進会議、発行者:松田國博、発行所:株式会社クバプロ、発行日:平成20年6月10日、定価1200円+税。
それでは、脳の世紀シンポジウム講演収録集10について簡単に紹介いたします。
講演収録集10は、「脳の世紀」推進会議の主催により開催された第15回「脳の世紀」シンポジウムでの講演を収録したものです。第15回シンポジウムは2007年9月19日に、東京の有楽町・朝日ホールにて開催されました。
脳を知る・創る・守る・育む 10の目次
開会挨拶
NPO法人 脳の世紀推進会議・理事長/
(独)理化学研究所脳科学総合研究センター・特別顧問 伊藤 正男
Ⅰ章 特別講演
『人間形成と脳』
遠山 敦子 (財)松下教育研究財団理事長
はじめに/人間形成の目標は何か/人間の発達の過程/日本社会の急激な変化/世界情勢の変化/これからの人材育成、人間形成/知育……その一/知育……その二/知育……その三/「こころを育む」ことの重要な時代/「こころを育む総合フォーラム」の創設/こころを育むには/脳科学への期待
Ⅱ章 脳を知る
『神経細胞の形をつくる仕組み』
貝淵 弘三 名古屋大学大学院医学系研究科・教授
神経細胞とシグナルの流れ/神経細胞は極性化している/軸索と樹状突起の運命決定の過程/神経細胞の極性化をつかさどる分子/CRMP-2の機能/CRMP-2の局在部位/神経細胞の極性化と軸索輸送/神経細胞の極性化を制御するシグナル伝達機構/神経成長因子受容体輸送モデル
Ⅲ章 脳を創る
『電子回路でつくる人工ニューロン』
河野 崇 東京大学生産技術研究所・准教授
ニューロモルフィックハードウエアとは/シリコンニューロンとは/イオンチャネルに基づいた神経モデル/縮小モリスムリカーモデル/縮小M-Lモデルの位相平面……クラスⅠ/縮小M-Lモデルの位相平面……クラスⅡ/数理モデルに基づいて設計したシリコンニューロン/大規模ネットワークの実現に向けて/まとめ
Ⅳ章 脳を守る
『脳を休ませる仕組み』
内山 真 日本大学医学部精神医学系・教授
脳を休めないとどうなるか/不眠と生活習慣病/脳が休む仕組みは二つある/なぜ眠るのか/疲れたから休む仕組み/睡眠の深い浅いとは/使った脳部位はよく眠る/睡眠不足で眠くなるメカニズム/夜になったら休む仕組み/体内時計を壊すと昼夜のメリハリが消失/リズム障害は体内時計の遅れ/脳はうまく休むともっと働く
Ⅴ章 脳を育む
『シナプスの刈り込みと神経回路発達』
狩野 方伸 東京大学大学院医学系研究科・教授
発達期の大脳皮質の可塑性/シナプスの密度の発達にともなう変化/大人の脳の可塑性/小脳皮質の神経回路/登上線維シナプスの刈り込み/一本の登上線維の選択的強化/
シナプス間隙の伝達物質濃度の評価/刈り込みの分子機構/mGluR1カスケードはどこで働くか/成熟小脳におけるシナプスの維持
閉会挨拶
津本 忠治 (独)理化学研究所脳科学総合研究センター津本研究ユニット・ユニットリーダー
以上です。
これらの講演者の中で、特別講演の講演者の遠山敦子氏は、小泉内閣時代に文部科学大臣をされた方です。人材育成のあり方についても、二十世紀の「画一の受身」の教育から、二十一世紀型の「自立と創造」へと転換しなければならないと話されていました。「こころを育む総合フォーラム」を創設し、そのフォーラムでの議論でわかったことを集約して話されていました。今読んでも十分参考になる内容でした。
その他の講演者もすばらしい方ですので、本を読まれることをお勧めします。