アンリセット#17 言葉を届ける角度

アンリセット#17 言葉を届ける角度

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(前回のあらすじ)
「勢いを付けてやれるから、速度の落とし方をちゃんと知らなかっただけ」
ーー入力したこの言葉でAIが物語を展開。
過去の失敗を振り返り、一莉は速度の落とし方を知らなかっただけと理解し、責めず学び直す決意をした。

(本編)
一莉は自身が苦手意識を感じているコミュニケーション能力を改善しようと、個人的に会えた大学時代にお世話になった教授 仁科想のセミナーに参加した。
仁科想のセミナー会場は、柔らかい照明と整然とした椅子が並び、落ち着いた空気に包まれていた。
講義のテーマは「自分の意見を相手に届く形にする方法」。
仁科はまず「意見は事実・感情・提案の三層で組み立てる」と説明した。
事実は相手と共有できる現実、感情はそこから自分が何を感じたか、提案は相手に求めるアクション。
一莉は手元のノートに「事実→感情→提案」と大きく書き、頭の中で最近の出来事を当てはめてみた。
次に仁科は「声の強弱と間の使い方が、説得力の温度を変える」と語った。
強く言うだけでは圧になり、弱すぎると埋もれる。相手が呼吸を合わせやすい“間”を置くことが大切だという。
一莉は、自分がこれまで一気に話していたことを思い出し、少し苦笑した。
演習では、二人一組になって「最近感じた不便」を三層構造で伝える練習が行われた。
相手役が頷く瞬間を見て、一莉は間の効果を実感した。
このやり方なら、自分の思いが少しずつでも相手に届くかもしれない――そう感じ始めた瞬間、壇上のスクリーンに大きな文字が映し出されようとしていた。
一莉はスクリーンに映し出された言葉をじっと見つめた。

「事実・感情・提案」は納得の三原則。

頭の中でその意味を反芻しながら、これまでの自分の話し方を思い返す。
ただ伝えたいことを並べ立てて、相手の気持ちや具体的な提案を欠いていたことに気づいた。
この三原則があれば、相手に理解されやすく、共感も得られるのかもしれない。
一莉の心の中で、言葉の力が少しずつ形を変え始めていた。
一莉はそっとつぶやいた。
「伝えるって、ただ話すことじゃないんだ…」
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