学位論文は研究テーマに始まり研究テーマに終わる
論文を書くときはテーマを決めます。
研究は常に新規性を求められるので、我々研究者は常に新しい研究テーマを探しています。
「これは新しいテーマになりそうだぞ!」と良いネタを見つけてもよく調べたら50年以上前に研究されていたテーマだったなんてことは珍しくありません。
研究テーマを探してどんどんニッチな分野を追求しますが、研究指導をしていると受講生の陥りやすい思考があることに気づきました。
研究の打ち合わせの時、受講生は研究テーマの候補を持ってくるのですが、私は決まって「研究のテーマを決めた理由」を聞きます。
すると決まって「今までこの研究が行われていなかったから」と返事が返ってきます。
研究テーマの設定理由が「今までやられていないから」ということでは論文を執筆しても審査に通らない可能性が高いです。
そもそも研究の世界では「新規性(新しいこと)」に加えて「汎用性(使えること)」が重要視されます。
「今までやられていない」というのは言葉を換えれば「今までやる価値がなかった」ということです。
「ドリルを売りたければ穴を売れ」という言葉があります。
「ここに穴を掘れば埋蔵金がわんさか出てきますよ」と聞けば別に売り込まなくてもドリルが売れるという理論です。
「ここに穴を掘ってください」と言われて理由を聞いたら「ここに穴がないからです」と言われても全く穴を掘る気にはならないですよね?
この話では埋蔵金を掘り当てるための穴が「価値」でありその価値を得るためにドリルを必要とするだけです。
ドリルは穴を掘る「手段」であり、研究は価値のある発見をするための「手段」でしかありません。
研究活動を行うには
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