芸人をアイドルのように応援するのはもちろん自由なのですが,漫才の最中にそういう応援をすると困る「切実な理由」があります
これは,漫才をみるときの「マナー」の話ではなく,漫才師本人と,「漫才を楽しみたい」と思っているお客さんが「困る」というお話です「漫才」というのは,フリートークのように実際にあった話をしている場合と,架空の話を実際にあったかのように話している場合があります。話はじめた時点では,実話なのか架空の話なのかは分からない場合が多いです。この状態で,アイドルのコンサートのときのような「キャ〜」とか「かっこいい〜」といった歓声をあげると,困ったことになります。例えば漫才師「昨日ダンクシュートを決めたんですけどね」観 客「キャ〜かっこいい〜」昨日ダンクシュートは決めた可能性もありますし,決めていない可能性もあります。漫才においては,本当にダンクシュートを決めたかどうかは重要なことではありません。なぜなら,「昨日ダンクシュートを決めた」はフリで,このあとにボケがくるからです。なのでここは,「ほうほう。それでそれで?」というふうにじっくり聴いて,そのあとにくるボケへの期待を高めてほしい場面です。ここで「キャ〜かっこいい〜」という反応が起こると,ボケの前に一つの山がきてしまい,一番ほしいボケでの反応が分散してしまうので,とても困ります。漫才師は,「そこじゃない」と思いますもしくは,絶対にダンクシュートが決められないタイプの漫才師が言う「昨日ダンクシュート決めたんですけどね」はボケなので,「笑い」ではなく「キャ〜かっこいい〜」という反応が起こると,困りますこういうパターンもあります漫才師「昨日1万円落としてしまいまして」観 客「え〜かわいそう〜」これも,同じ理由で困ります。漫才師は,「そういうことじゃ
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