教養としてのギリシア哲学➀:ソクラテス
アレテー:徳、卓越性、本質。隠された真理(アレテイア)に由来します。アルケー論→弁論術→アレテー論と関心が移り、ソクラテスに至って、知徳合一・知行合一・福徳一致が説かました。これは人類レベルでの精神発達史として、幼年期→少年期→青年期に対応し、ソクラテスは出るべくして出たとも言えます。
枢軸時代:ヤスパースの命名。BC500年の前後300年に、ギリシアではソクラテス・プラトン・アリストテレスがギリシア哲学を完成し、西アジアではイランにゾロアスター教が興り、パレスチナにユダヤ教が確立しました。インドでは自由思想家が出現する中で仏教が誕生し、中国では諸子百家が出現する中で孔子・孟子などの儒家、老子・荘子などの道家が活躍しました。人類の精神的原点とも言うべき宗教・思想が東西にわたって一斉に出現、確立した時期です。
ソクラテス:「善く生きること」を求め、人間が幸福になるには魂への配慮によって徳を身につけることが必要だとしました。そして、「汝自身を知れ」という格言に従って、問答法(対話法)を用いて人々に無知を自覚させていったため、死刑判決を受け、それを不当としながらも、脱獄の勧めを拒み、国家の法に従って刑を受けました。ソクラテスは著書を残しておらず、彼の言行・思想は弟子のプラトンが記しました。ちなみにブッダ、イエス、孔子、ソクラテスを「四大聖人」と呼ぶことがありますが、「聖人」は国家を超えた世界宗教の開祖に与えられる称号なので、ソクラテスは「哲人」であり、むしろイスラーム教の開祖ムハンマドを入れるべきだとされます。
魂への配慮・魂の世話:自己の魂が優れたものになるように気遣うこと、魂に徳
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