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書きあぐねる作家の髙橋P.モンゴメリーの独り言。仰々しくなくてもいい。見たことがあるような物語でも、聞いたことがあるような物語でも、型を借りて書いていいじゃないか。奇をてらったものばかりでなくてもいい。売れそうな流れには、素直に乗ってみればいい。

見たことある物語で、いいじゃないか 仰々しくなくてもいいのではないか、と最近よく思う。 ものすごく新しいものを書こうとしなくてもいい。誰も思いつかなかった設定を持ってこなくてもいい。読者の度肝を抜くような構造を考えなくてもいい。ページをめくった瞬間に「これは文学史が変わるぞ」と思わせなくてもいい。 もちろん、そういうものを書けるなら、それは素晴らしい。誰も見たことのない景色を言葉で立ち上げられる人は、本当にすごいと思う。自分の内側にしかない世界を、きちんと他人の目にも見えるように差し出せる人は、尊敬する。 でも、いつもそんなものばかりを目指していたら、たぶん、多くの人は書けなくなる。 少なくとも僕は、書けなくなる。 書く前から、こんな声が頭の中で鳴りはじめる。 これはどこかで見たことがあるんじゃないか。 この展開は、ありがちなんじゃないか。 この人物は、昔読んだ小説の誰かに似ているんじゃないか。 この舞台は、もう誰かが使っているんじゃないか。 この題材は、使い古されているんじゃないか。 そうやって、まだ一行も書いていないうちから、自分の中の校閲者だか批評家だか裁判官だかが、赤ペンを持って立ち上がる。そして、こちらが椅子に座るより先に言う。 それ、新しくないですよ。 いや、わかっている。 そんなことは、自分でもわかっている。 世の中に物語はたくさんある。小説も映画も漫画もドラマもアニメも、もう数え切れないほどある。恋愛も、別れも、再会も、殺人も、家族の秘密も、喫茶店も、図書館も、猫も、手紙も、雨の夜も、古いアパートも、商店街も、遺品整理も、失踪も、記憶喪失も、タイムリープも、余命
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