電子書籍は「出せばいい」時代が終わった──この2年で変わったこと
「電子書籍を出したいんです」
最近、この相談を受けることが本当に増えました。
ただ、その直後にこう続くケースが少なくありません。
「AIを使えば5日で本が作れるって広告を見たんですが、本当にできますか?」
この質問を聞くたびに、私は少し考え込みます。
答えはシンプルです。
作ることはできる。
でも、それが本として意味を持つかは別の話です。
私は30年以上出版業界にいて、300冊以上の書籍を編集してきました。
テレビドラマの原案本や、10万部を超えるベストセラーシリーズもあります。
その立場から見て、ここ2年で電子書籍の世界は大きく変わりました。
そして今、はっきり言えることがあります。
電子書籍は「出せばいい」時代が終わりつつある。
日本の電子書籍市場の現実
まず、日本の電子書籍市場を俯瞰してみましょう。
実は市場の約9割は漫画です。
これはずっと変わっていません。
漫画以外の電子書籍──
つまりビジネス書、自己啓発書、心理学、哲学などのジャンル。
これらの市場規模は2024年時点で約600億円程度と言われています。
雑誌の電子版は売上がかなり小さいため、
実質的にはほとんどが書籍です。
この市場は派手ではありません。
しかし、実は非常に底堅い市場です。
自己啓発
ビジネス
人生論
心理学
こういったジャンルは、静かに、しかし確実に読まれ続けています。
2年前の電子書籍市場
2年前、電子書籍はある意味で「カオス」でした。
とにかく出せばいい。
安くてもいい。
スピード重視。
いわば粗製濫造の時代です。
電子書籍は紙の本よりも簡単に出せます。
だからこそ「とりあえず出す」という流
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