コントラバス買っちったよね
あぁ買ってしまった。これほどまでに「買ってしまった」という表現が似合う楽器も他にはなかなか少ないと思う。コントラバスというのはそれほどに、「所有する」ことのメリットに対してデメリットが大きすぎる楽器なのだ。購入の経緯としてはこうだ。ヤフオクで前々から、「コントラバスが安ければ入札する」を繰り返していた。そもそもコントラバスなんてそうそう安く手に入るものでもない。安い値段で入札したところで結局は他の入札者が現れてそこそこの値段になって終わる。もちろん私もそれを承知の上で、一種のスリルを味わう様な感覚で「どうせ落札できるわけないし…」と思いながら日々入札を繰り返していた。その日も私はなんとなくヤフオクを眺め、いつもの様にまだ20,000円にも満たない額のコントラバスに対して20,000円の入札を入れた。当然、今までの経験則から結局はこのコントラバスも100,000円前後まで伸びていくのだ。そう信じて疑わなかった。ちょうどライブ前に控室で待機していたころだ。ポケットに入れたスマホがブルルと短く震えた。『おめでとうございます!』今度は私が震えた。「コントラバスを…落札してしまった…?」20,000円で落札できたのであれば、楽器の状態にもよるがそこそこ安い値段であろう。しかし、コントラバスにはそれ以外にも考えなければならないことが山積みだ。言うなれば突然明日から家に大型犬を飼うような、それなりの準備も必要になってくる様な話だ。まずは妻への言い訳である。いきなりこんなバカでかいものを家に持って帰っていいわけがない。仮に妻がいきなり大型犬を飼って来ようものなら家族会議を開催しなければならない
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