「企画力で売れる本」のお手本はここにあった——三五館シンシャの“日記シリーズ”が教えてくれる編集の本質と本と読者の信用構築
出版業界に長くいると、「今の時代は広告を打てないと売れない」「SNSでバズらないと難しい」といった悲観的な声を耳にします。しかし、それを軽々と超えていく“企画力だけで勝負しているシリーズ”が存在します。
それが、三五館シンシャが刊行している 日記シリーズ です。
普通の人の、普通の日々。だが、読む者の心が揺れる
このシリーズは、特別な有名人でも成功者でもありません。
登場するのは、ごく普通の仕事をしている人たち。
ノルマに追われる生命保険営業マンの日記
10年勤めて突然クビになったメーター検針員の日記
利用者の人生と向き合い続けるケアマネージャーの日記
過酷な現場を渡り歩く派遣添乗員の日記
お客様に頭を下げ続ける住宅営業マンの日記
どれも「えっ、こんな日常があるのか」と胸を掴まれる哀愁とリアリティでいっぱいです。
凄いのは、これらが 派手な脚色も、強烈な成功譚もない“等身大の毎日” の記録だということ。
まさに 企画の勝利。
そして、このシリーズが長年続いているのは、書店と読者が同じように感じているからでしょう。
シリーズ化=信用の証。読者は「次も絶対面白い」と思っている
シリーズとして成り立つということは、
「今回も絶対面白いはずだ」という、読者と出版社の間に信用が育っている証拠です。
広告予算が潤沢にあるわけではない出版社が、倒産を経験しながらも再スタートし、
企画力だけで読者の心を動かし、棚を確保し、シリーズを継続させている。
これほど出版社の原点を思い出させてくれる例はなかなかありません。
出版とは本来、
「読者が思わず手に取るテーマを見つけ、形にし、届ける仕事」
であ
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