やさしさの扱い方(前編)
■ 優しさだけでは、人は守れない私は長い間、「人には優しく」「できるだけ迷惑をかけないように」と生きてきました。優しささえあれば、人生はうまくいく。そう信じていました。けれど、大人になった今は思います。優しさは大切だけれど、優しさ“だけ”では、自分を守り切れない。優しい人ほど、自分を後回しにしてしまい、知らないうちに心が摩耗していきます。その背景には、“受け入れすぎてしまう性質”が静かに働いていることが多いのです。■ 幼少期から始まる「優しさの負担」これは昔、私の同級生にいた女の子の話でもあります。彼女はとても穏やかで、誰に対しても分け隔てなく接するタイプでした。しかし、当時の彼女は気づいていませんでした。自分が特別扱いされていること周囲からの嫉妬の視線誤った好意が向けられていること子どもは“自分を基準に世界を見る”ため、「みんな同じ経験をしているんだ」と思い込みます。けれど現実には違います。人により、背負うもの・浴びる感情はまったく違う。その落差が、彼女を静かに追い詰めていきました。■ 優しい人ほど、境界線をつくれない優しさの強い人は、断れない嫌味を流してしまう頼まれると引き受けてしまう自分の感情より相手を優先するこうした傾向が重なり、“周囲にとって都合がいい役割”が固定されやすくなります。本人に悪気はありません。むしろ、誠実さゆえです。ただ、境界線が曖昧だと、その優しさが「無限に利用できるもの」と見なされてしまう。その結果、負荷の総量だけが静かに増えていく。■ 周囲の“期待と圧力”で少しずつ心が削られる彼女の場合、周囲の期待は2方向から押し寄せていました。● 同性からの負担
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