春宵十話
今日、私が紹介させていただくのは、数学者 岡潔先生の『春宵十話』です。この本は、主に教育や人間性について記されています。少し内容を引用させてもらいます。 日本だけでなく、西洋も同じように言えるのだが、学問にしろ教育にしろ、人を抜きにして考えているような気がするのだ。実際は人が学問をし、人が教育をしたりされたりするのだから、人こそ学問の中心になるべきではないだろうか?そして今、人に対する知識の不足が最も顕著にあらわれているのは、幼児の育て方や、義務教育の面ではないだろうか?人は動物である。しかし単なる動物ではない。動物という性質の上に、人間性という芽を継ぎ足したものなのだ。 とあります。さらに岡先生は、動物的な生存本能や闘争本能(人より評価されること)を刺激するような導き方をしていないか?時間をかけて、じっくり人間性を育てていかないでどうするのか?と、警鐘を鳴らしています。 私はこういった岡先生の言葉に共感しました。現代社会は経済が回るかどうかや、少子化対策の有効手段はなにか、など、すごく表面的に話を進めているように思います。しかし、一人一人の個人にとっては、経済に関わるけれども、自分は何がしたいか、少子化対策に関わるけれども、有効手段ではなく、育むべき愛へはどう辿り着けるか。その心が大切なのではないかと感じています。 ただ、私が伝えたいのは、義務教育か情操教育かという対立的なことが言いたいわけではないということです。義務教育も大事。情操教育も大事です。こういったことは、どうしても自分の主体的な比較による善し悪しで考えがちです。岡先生は今の日本において、もしかすると、岡先生の理想
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