「もう女として終わった」なんて言わないで。50代からの恋が、想像以上に美しい
※今回も、実際にご相談いただいた方のお話をもとに、許可を得て内容を再構成しております。「同じように悩んでいる方の助けになれば」と願うご本人の気持ちを込めて、綴らせていただきます。「鏡を見るたび、“女としての役目は終わった”なんて、心の中でつぶやいていました」子どもは独立し、職場でもベテランと呼ばれる年代。必要とされる場面はあるのに、ふとした瞬間、女としての自分には幕が下りたのだと感じてしまう――それが、52歳の私の日常でした。転機は、友人に誘われて参加したタンゴの体験レッスン。運動不足を解消できれば十分、と軽い気持ちで足を運んだスタジオで、私は思いもよらない出会いをします。踊るための手”を差し出された瞬間鏡張りのフロアに流れる哀愁を帯びたバンドネオン。人数合わせのためにペアを組んだのは、60歳前後に見える紳士でした。背筋がすっと伸び、指先まで神経が行き届いた所作。名前を名乗るより先に、彼は静かに手を差し出し、こう言いました。「大丈夫。リードは僕がしますから、目を閉じても構いませんよ」その声に驚きながらも、私は差し出された手を取ります。肌が触れた瞬間、胸の奥で小さなスイッチがカチリと音を立てた気がしました――“女”がまだ自分の中に生きている、と。*ステップに刻まれた会話初心者同士ぎこちなくも、音に合わせて歩を進める。失敗して足がもつれたとき、彼が小さく笑って言いました。「タンゴに完璧はないんです。ふたりで揺れながら探せばいい」たった一行の言葉なのに、10年間閉ざしていた扉が、少しだけ開いたようでした。*週一の練習では足りなくてそれから毎週、同じクラスで顔を合わせるようになった私た
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