記憶の底に潜む恋心、香りが呼び覚ます。
――「あの人の香りが、まだ私の胸の奥にいるなんて」1. どうして“香り”だけ、こんなにも忘れられないの?香りって不思議です。名前も忘れた、顔もうろ覚えな恋の相手のことを、香りひとつで鮮明に思い出してしまう。むしろ、「あのときの香り」こそが、その人そのものだった気さえしてしまうんです。たとえば、電車の中でふわっと漂ったウッディな香水。たったそれだけで、20年前のあの夏、サンダル履きでアイスを分け合った彼の笑顔がよみがえる。あぁ、やっぱり私、あの人のこと、本気で好きだったんだ――と、気づかされる。脳って合理的にできてるはずなのに、恋に関してはぜんぜん論理的じゃないのよね。2. 「香り」は感情のタイムカプセル心理学的には、「嗅覚」は五感の中でも最も記憶と結びつきやすいと言われています。いわば、香りは“感情のタイムカプセル”。無意識のうちに記憶を閉じ込め、思いがけないときにパカンと蓋を開けてしまうんです。特に恋愛の記憶は、嬉しさや切なさ、恥ずかしさ、すべての感情がぎゅうぎゅうに詰まっているから、香りに触れた瞬間、涙が出そうになるほど心がざわつくの。「もう吹っ切れたと思ってたのに」「とっくに忘れたはずだったのに」――そんな言い訳も通用しない。香りは、嘘を見抜くのが得意なんです。3. 恋心の残り香が教えてくれる「今」の私香りに呼び覚まされた恋心。それは、過去にすがっているわけじゃないの。むしろ、「あのときの私はこんなにも人を愛していたんだ」と、自分を再確認する時間でもあります。「私は、誰かを本気で想ったことがある」 その事実が、今のあなたに力をくれる。傷ついても、失っても、香りが記憶してく
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