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連続小説『DNA51影たちの黒十字』24

連続小説『DNA51影たちの黒十字』24連続小説『DNA51影たちの黒十字』第24回Rosalind Franklin Photo51Rosalind Franklin Photo#51      25       ウラジミール・ルイセンコ ウラジミール・ルイセンコという学生の存在がロザリンドの眼中に入ってきたのにはそれなりの理由があった。ロザリンドの研究室に学生として所属しているケネスホームズという学生をルイセンコが頻繁に訪ねてくるからである。ルイセンコ自身はロザリンド研究室の所属学生ではなく、ケネスホームズの知人・友人としてしばしば訪ねて来るようなのだ。ケネスホームズが研究室に不在の時にも度々訪ねて来ては研究室の休憩用・来客用のソファーに座ってケネスホームズが来るのを待っているルイセンコの姿をロザリンドは目撃している。そんなルイセンコにロザリンドが出会うと、ルイセンコは愛想よく挨拶をする。いたって人当たりが柔らかく好感度の高い人物のようではあるのだが、部外者であるルイセンコの研究室滞在時間は異様に長い。まるでロザリンド研の所属学生であるかのような振る舞い方になってきている。 ルイセンコ本人が言うところでは自身の本来の専攻は農業経営学であるらしいのだが、最近ではウィルスにも関心が高まっているとの様子で、ケネスホームズが研究室に来ない日でもルイセンコは来室してしきりに休憩所の学生たちを相手に研究内容を興味深く聞いている。遠目から観察するにルイセンコは二重螺旋形態にも唯ならぬ強い関心を寄せているようにロザリンドは感じた。 生物の核酸の形態が二重螺旋をとっているのではないかとのロザ
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連続小説『DNA51影たちの黒十字』23

連続小説『DNA51影たちの黒十字』23連続小説『DNA51影たちの黒十字』第23回Rosalind Franklin Photo51Rosalind Franklin Photo#51 24  セキュリティ・クリアランス バークベック・カレッジに移籍しウィルス研究を始めたロザリンドはTMV(タバコモザイクウィルス)の結晶化に取り組んだ。TMVの結晶化に世界で初めて成功したのは米国の科学者でカリフォルニア大学バークレイ校のウェンデル・スタンリーであった。1935年の事である。この成功によりTMVの特異性などが少しづつ明らかになり、研究方法にも進展が見られていた。ウェンデルは1946年度のノーベル化学賞を受賞した科学者でもある。 この分野の研究では、如何に結晶をうまく作るかがカギとなる。結晶が上手く作れなければ、その先の分析へとは進めないからだ。もちろん分析が出来ないようであれば研究成果も出てこない。よって、結晶の実物と回折画像が最重要成果物品となる。ロザリンドが得意とする十八番分野である。 ロザリンドの研究分野とは異なる研究分野ではあるものの、ロザリンドと同じく倫敦大学で結晶に関する研究を行った日本人がいる。その研究者は、六方晶窒化ホウ素と呼ばれる物質の高圧高温下結晶の作成で名手と謳われる研究者であるが、なんと、その結晶を作り上げられるのは世界中でその研究者唯一人であるという。 現代に於いては、グラフェンと呼ばれる炭素原子結合が一層のみから成り立っている、言わば、2次元平面状態にある炭素原子物体についての研究開発で、六方晶窒化ホウ素の高圧高温下結晶体(“h-BN”と呼ばれている
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