悪魔のクッキング
「ああ、ホラホラ。いつまで食べているの。学校、遅刻しちゃうわよ」
「あっ、いっけなーい!」
「わっ! もうこんな時間!?」
姉と弟は慌てて朝食を口に詰め込み、ランドセルを背負った。
「それじゃあお母さん。行ってくるね! 今日の目玉焼き、スッゴク美味しかったよ」
「ボクはウインナーが美味しかった! また明日の朝も作ってね!」
「はいはい。それじゃあ、2人とも、行ってらっしゃい」
「「行ってきまーす!」」
2人の子供を見送った後、母親は再びリビングに戻り、目を吊り上げた。
「アナタ! いつまでいるんですか? 会社に遅れるわよ?」
「ん? ああ。まだ食べているんだよ」
「お皿にはもう何も残っていません! お皿まで食べる気ですか!」
テーブルをはさんで、夫婦は皿を取り合う。
「母さん、お代わり」
「遅刻します! 家計が苦しいんですから、減給だけはカンベンしてください!」
「…せめてハム一枚」
「……一枚、ですね? なら今のうちに出掛ける準備してくださいな」
「分かったよ。母さんには敵わないなぁ」
ボリボリと頭をかきながら、夫は出掛ける準備をする。
そして玄関に立った時、
「はい、アナタ。あ~ん」
妻が笑顔で一枚のハムをつまんで、口元へ持ってきたので、素直に口を開ける。
「あ~ん。…んぐんぐ。やっぱり母さんの料理は最高だな」
「褒めていただいても、今日の晩御飯は子供の好きなハンバーグですからね」
「がっくり…」
「…子供と張り合わないでくだ
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