夏の怪談 1

夏の怪談 1

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 私は中高のころクンダリニヨガや大小周天に傾注していた。そのころ桐山氏やCWリードビーター、氏等の書を読んで実践するのを日課にしていた。後には桐山氏の「虚空蔵菩薩求聞持聡明法」の次第を読み、それをやるために、東・南・西に開けた山の頂に小屋を得た。その話はまた後にしてとりあえずはぱしりの話からにしよう。
 中学3年の夏、自分の部屋で、霊聴(アナハタ・ビンシュダー)に集中していると、9人のばあさんたちのひそひそ話の声が聞こえてきた。九人の姿の見えないばあさんたちのひそひそ話は聞き取りにくく、一週間くらい聞き流していたが、気になって、そのささやきのする方に行ってみることにした。その方向は当時住んでいた地区の寺の墓場の方向だった。いくら何でもこの時間に墓場かよと思ったがええいと行くことにした。ここまでは共通している。
 最初は墓場の前の道を通り過ぎてその裏の山に入っていく山道の手前の車道の終わりまで来た。そこに山の地肌が迫っていたが、その手前に藪のように枝に囲まれた塊があった。その中から婆たちの声が聞こえてくる。

(各分節「。」までが一人の声だが、「」が面倒なので、箇条書きで順次書きます。)

もえさんちの若は頭をおやじに鉞で割られて死んだ。
おやじは自分の息子の若がどうしてあんなに金を持っていたのか、あんなに酒が飲めたのか疑っていた。
家の土地を質草に入れたのではないかと疑っていた。 
それでおやじは囲炉裏の横でいい気分で寝ていた若を殺してしまったのか。
ひどいことじゃ。
若はどうしてそんなにお金があったんだ。(私は質問を婆たちに投げ込んだ)
うっふっふ、むらさきやしお、しろやしお
こまくさ、しおがま、しらねあおい
それにほらここいら一面のいかりそう
これらを売ってきていたのさ。
なんという惜しいことをしたものか
なんという愚かなおやじだったものか。
そして、息子の頭が割られた瞬間、寺の坊主がばっと起きてうわーッと、頭が割れたーと起き上がった。
若が叫んでいた
そう 若が泣き叫んだんだ。
親父は刑務所に連れ去られ、
もえさんは実家から孫のような養子を取って育て上げた。
悪の胤は尽きたか・・・。
ふっふっふ。まだあるわ。続いてる。
・・・・

婆達の話は終わらない。けれども私にも宿題があるからその日は戻った。
(挿絵は 朧塚 おぼろづか 様画)

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