元店長サムです。
スタッフに自己評価をしてもらうと、こんなことがあります。
本人は「C」。
店長は「B」。
本人からすれば、
「普通にできていると思うんですけど」
店長からすれば、
「まだ安定して任せられるところまでは来ていない」
どちらも嘘をついているわけではありません。
それでも評価が違う。
飲食店の評価面談では、こうした本人と店長の認識差がよく起こります。
問題は、評価が違うことではありません。
その違いを、どう扱うかです。
認識差があると、つい「正しい評価」を決めたくなる
本人がC、店長がB。
こうなると、店長側はつい、
「いや、まだCではないよ」
と説明したくなります。
反対に本人は、
「なぜBなんですか?」
と納得できなくなることがあります。
ここで、
「店長の評価だからB」
で終わらせてしまえば、評価面談は単なる結果発表になってしまいます。
本人に自己評価をしてもらった意味も薄くなります。
自己評価は、店長の評価と一致させるために行うものではありません。
本人が自分の仕事をどう見ているのかを知るための材料です。
だから、評価が違ったときこそ面談する意味があります。
たとえば「チーム連携」の評価が違った場合
ホールスタッフを例にします。
本人は、自分のチーム連携をCと評価しました。
理由は、
「自分の担当が終わったら、周りも見るようにしている」
からです。
これは本人にとっては事実です。
一方で店長はBと評価しました。
なぜなら、普段の落ち着いた時間には周囲を見てフォローできているものの、ランチピークになると、自分の担当作業だけで手いっぱいになり、声をかけられるまで他の区画へフォローに入れない場面が何度かあったからです。
ここで、
「本人の自己評価が甘い」
と決めつける必要はありません。
本人は、
「できた場面」
を基準にCと考えている。
店長は、
「忙しい場面でも安定してできるか」
まで見てBと判断している。
見ている基準が違うのです。
面談では「なぜCだと思った?」から始める
評価が違ったときに、最初から店長側の評価を説明する必要はありません。
まず本人に、
「どうしてCだと思った?」
と聞きます。
すると、
「最近は手が空いたら片付けを手伝っています」
「前より周りを見るようになりました」
といった本人なりの理由が出てきます。
ここで大事なのは、その話をいったん受け止めることです。
実際にできるようになった部分があるなら、
「そこは確かに良くなった」
と返せます。
そのうえで、
「一方で、ランチピークではどうだったと思う?」
と具体的な場面に移ります。
評価の話を、
人の評価から、行動の確認へ戻す。
これだけで面談の空気はかなり変わります。
店長側にも根拠が必要になる
自己評価を取り入れると、店長側にも良い意味で負荷がかかります。
本人が、
「なぜBなんですか?」
と聞いたとき、
「なんとなくまだ足りない」
では説明できないからです。
「○月○日のランチピークでは、自分の担当が終わったあとも隣区画を確認せず、声をかけられてからフォローに入っていた」
という行動事実があれば説明できます。
逆に、そこまでの根拠がないのであれば、無理にBと決める必要もありません。
十分に見られていないなら、
「未観察」
として、もう少し確認するという選択肢もあります。
評価する側にも、
「見ていないものを、なんとなく評価しない」
という姿勢が必要です。
認識差をなくすことが目的ではない
本人と店長の評価を、毎回一致させる必要はありません。
むしろ大切なのは、
なぜ違ったのかを一緒に確認することです。
本人は「できるようになった」と感じている。
店長は「できる場面は増えたが、まだ安定していない」と見ている。
この二つは、矛盾していません。
そこまで整理できれば、次の目標も決めやすくなります。
たとえば、
「もっと周りを見よう」
ではなく、
「ピーク中、自分の担当作業が一区切りしたら、次の作業へ移る前に客席全体を一度確認する」
と具体化できます。
これなら本人も、
「次に何をすればCに近づくのか」
が分かります。
店長側も、次回何を確認すればよいかが明確になります。
評価面談は「判定の場」ではなく「認識を合わせる場」
スタッフ評価というと、どうしても、
Aなのか。
Bなのか。
Cなのか。
という結果に目が向きます。
しかし、評価そのものより大切なのは、
本人と店長が、仕事の状態を同じ材料を見ながら話せること
だと考えています。
本人はC。
店長はB。
その違いは失敗ではありません。
むしろ、
「本人はどこをできていると思っているのか」
「店長はどこをまだ不安定だと見ているのか」
を確認できる入口になります。
評価が違ったときに、
「どちらが正しいか」で終わらせない。
「なぜ違ったのか」を確認し、次の行動を決める。
その方が、評価は育成に使えるものになると思っています。
正しい評価、できていますか?