陰陽思想と生理とジェンダー論

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陰陽思想とは物事を『陰』と『陽』に分類する思想です。太陽は『陽』、月は『陰』。現世は『陽』、死者の世界は『陰』。ヒトが住むところを『陽宅』といい墓場を『陰宅』と言います。当然男女も陰陽で分類をするのですが、この場合は男性が『陽』、女性が『陰』とされています。おそらく活動量などのイメージで分類されているのでしょう。

 ここまでで『陰』のイメージはどうでしょう?どちらかといえば死や闇に近いイメージで忌むべき存在に見えませんか?

『陰』女性はココでネガティブなイメージを付けられてしまっています。

 次に視点を変えて、古来より血液は忌むべき存在で実際、死の象徴でもあり、感染症などの感染経路にもなります。科学が発展していない時には血は脅威そのもので避けるべき存在であったと言えます。これは致し方ありません。そこに生理という女性特有の現象が合わさります。『陰陽論』で『陰』の死のイメージが付き、血の現象が重なり女性には一定のタブー、忌むべき存在としての社会的地位が出来上がります。実際、インド・日本など生理中の女性は本宅(陽宅)に入れないように生理小屋で生理中だけ別棟で生活させるようにしている事例もあります(インドではいまだに存在しています)。

 千年前の思想でしょ?と思う方、日本の生活には陰陽の思想が深く根付いています。曜日も『日・月・火・水・木・金』と正に陰陽五行説そのものです。豆まきも、鬼の絵を描いてください。角が生えていてシマシマパンツではありませんか?これは陰陽五行説と方位論そのものです。恵方巻も月見も枚挙にいとまがありません。無意識に社会全体がこのDNAを受け継いでいます。10年前までは工事現場に女性が来ると職人は「(祟りで)事故が発生する」嫌がったものです。特に地方はまだその傾向が残っています。古臭いと思うあなた。もし、工事現場で『大木を切れ』とあなたが言われた時ためらいませんか?ほぼ同じキモチです。だから、お爺さん世代の職人を一概に批判しないでください。タブーの世界はそういうものです。

 江戸時代の家相本では、女性が家長になることを凶として記載されています。これも以上の理由によるからでしょう。つまり、女性が家長になると(現世の人が住む)『陽宅』から(死者の住む)『陰宅』に変わるという理論です。

 さて、”結論は何か”という事ですが、私としては、これを全否定するつもりはありません。こういう文化論を知ることが大切で、ここに科学的根拠(例えば当時は知られていなかった、血液で細菌等が感染するという事実)が加わり、これらを総合的に判断し、かつ、未だ科学で証明されていない点は、今後エビデンスを取得して昇華するかもしれないという敬意をもって、現代社会で合理的な家相や占断を行っていくことが大切だという事を述べて終わりにします。
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