現役の塾講師として、高校生に数学を教えています。
共通テストが近づくこの時期、記述模試の答案を見ていると、「解き方は分かっているのに点が落ちる」パターンがはっきり見えてきます。
今回は、数III・数Cでとくによく見かける3つを紹介します。どれも知識の量ではなく、「答案を書くときの癖」で起きるミスです。
【ミス1】∞−∞ を 0 にしてしまう(数III・極限)
例:lim(n→∞)(√(n²+3n) − n)を求める。
「どちらも∞だから、引いたら0」と書いてしまうミスです。
正しくは、分子を有理化します。
√(n²+3n) − n = 3n /(√(n²+3n) + n)
分母と分子をnで割ると、3 /(√(1+3/n) + 1)→ 3/2 になります。
∞−∞ や ∞/∞ は「答えが0」ではなく、「まだ分からない」という合図です。見たら必ず式を変形する、と決めておけば防げます。
【ミス2】ベクトルの内積で、三角形の内角をそのまま使う(数C)
例:1辺2の正三角形ABCで、ベクトルABとベクトルBCの内積を求める。
内角が60°だからと cos60° を使うと 2 になりますが、正解は −2 です。
内積の角は、2つのベクトルの「始点をそろえたとき」の角です。ベクトルABをBの先まで延ばすと、ベクトルBCとのなす角は120°です。
2 × 2 × cos120° = −2
計算に入る前に「矢印のしっぽをくっつけたか」を確かめるだけで防げます。
【ミス3】極方程式で x²+y² をばらしてしまう(数C)
例:x²+y² = 4x を極方程式で表す。
x=r cosθ、y=r sinθ を1文字ずつ代入すると、式が重くなって手が止まります。
x²+y² は、ひとかたまりのまま r² に置き換えます。
r² = 4r cosθ より、r = 4cosθ
逆に r = 6sinθ を直交座標の式にするときは、両辺に r を掛けて r² = 6r sinθ とします。これで x²+y² = 6y、つまり中心(0, 3)、半径3の円です。
「x²+y² は r²、r cosθ は x、r sinθ は y」の3点セットで覚えておくと、どちらの向きの変換もすぐにできます。
※これは、私自身が問題を解き直していて引っかかったものです。講師でも、型を持っていないと手が止まります。
【3つに共通すること】
3つとも、公式を知らないから起きるミスではありません。
「答えを出す前に、一度立ち止まって確かめる」習慣がないことで起きます。
・極限:∞−∞ の形になっていないか
・内積:始点はそろっているか
・極方程式:x²+y² のかたまりはないか
こうした確認の癖は、自分の答案を他人の目で見てもらうと、身につくのがぐっと早くなります。
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