売上の表をAIに渡すとき、「重複を消して、合計を出して」と頼もうとしていませんか。
先に確認したいのは、何をもって重複とするかです。同じ注文番号が並んでいても、別の商品を買った明細なら、両方を残す必要があります。
今回は小さな架空の表で、消してよい行と残す行の違いを見てみましょう。
同じ注文番号でも、別の商品なら残す
次は説明用に作ったデータです。1行が1商品の明細で、金額はその明細の合計額とします。
明細ID|注文番号|商品|金額
M01|A10234|ノート|1,000円
M02|A10234|クリアファイル|2,000円
M03|A10235|ペン|1,000円
M04|A10236|付箋|5,000円
M04|A10236|付箋|5,000円
この例では、最後の1行だけが二重に取り込まれたもの、と確認できている前提です。
A10234の2行は、ノートとクリアファイルという別の明細です。注文番号が同じだからと片方を消すと、買った商品の金額が集計から抜けてしまいます。
消す基準を変えると、合計も変わる
同じ表でも、扱いによって結果はこう変わります。
・何も除外しない:5行、14,000円
・注文番号ごとに先頭の1行だけ残す:3行、7,000円
・二重取込みと確認した最後の1行だけ除外する:4行、9,000円
この例で求めたい結果は、4行・9,000円です。注文別にまとめると、次の形になります。
A10234:3,000円(2明細)
A10235:1,000円(1明細)
A10236:5,000円(1明細)
合計:9,000円(4明細)
注文は3件、商品の明細は4件。「件数」だけで頼むと、どちらを数えたいのかも曖昧になります。
Microsoftの公式ヘルプでも、重複を確認してから削除するか判断すること、削除前に元データをコピーしておくことが案内されています。
AIには、まず「除外する候補」を出してもらう
いきなり元の表を変更するより、候補と理由を別に出し、人が確認してから進める方法がおすすめです。
先ほどの架空データなら、次のように依頼できます。
【この例で使う指示文】
次の表を確認してください。元データは変更せず、確認用の結果を別に示してください。
1行は1商品の明細です。同じ注文番号でも、異なる明細IDの行は残してください。
この表では、明細ID・注文番号・商品・金額がすべて一致する行を二重取込みとして扱います。同じ明細IDなのに内容が異なる場合は、勝手に選ばず要確認にしてください。
まず除外候補の行と理由を示し、次に、その候補を除外した場合の注文別金額と明細数を示してください。最後に、除外前・除外する分・除外後の行数と金額を並べてください。
データ:
(先ほどの5行を入れる)
これは今回の例に合わせた指示文です。実際のデータでは、同じ内容の行が正当な別取引である場合もあります。会社で使っている明細IDの意味や、二重取込みと判断する条件に置き換えてください。
合計だけでなく、除外した行も確認する
この例の照合は、次のようになります。
行数:5行 − 1行 = 4行
金額:14,000円 − 5,000円 = 9,000円
計算がつながっていても、消す行の判断が正しいとは限りません。除外候補そのものを元データと見比べ、残すべき商品の明細が入っていないかまで確認します。
今日やることは、使っている表の「1行が何を表すか」を一文で書くことです。「1注文」なのか「1商品」なのか。そこを決めてから、AIに任せる条件を言葉にしてみてください。
練習には架空データを使い、実際の業務情報は会社で認められたツールと入力ルールに従って扱いましょう。
AIに任せる作業と、人が判断する作業の分け方は、こちらの記事でも紹介しています。
「AIで業務効率化、何から始める?問い合わせ返信で任せる範囲を決める」
仕事で使うAIへの指示の出し方を、一緒に練習したい方へ。画面共有で業務を一つ選んで進める実務レッスンの内容は、こちらでご確認いただけます。
参考情報
・Microsoft Support「重複を検索して削除する」
・Anthropic/Claude Platform Docs「Prompt engineering overview」
最終確認日:2026年11月4日
※表と指示文は自作の架空例で、AIの実出力ではありません。特定AIツール・Excelでの実機検証や業務効果の検証は行っていません。