テレサ・テンの歌が教えてくれた、中国語の美しさ

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私の趣味の一つはカラオケです。

私はどちらかというと声が低いため、明るく弾けるようなポップスよりも、少し影のあるムーディーな歌のほうが声に合うようです。大人になってからカラオケを楽しむようになり、自然とよく歌うようになったのが、テレサ・テンの曲でした。

「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」など、テレサ・テンの歌には、大人の女性の切なさや、言葉にはできない愛の深さが込められています。華やかに歌い上げるというよりも、心の奥にある思いを、そっと語りかけるように歌う。その世界観が、私の低い声にもよくなじみます。

最初は日本語の曲だけを歌っていましたが、何度も歌ううちに、それだけでは物足りなくなってきました。

「テレサ・テンが本来歌っていた言葉で、この歌を歌ってみたい」

そう思うようになり、最近では「月亮代表我的心」や「我只在乎你」など、中国語の歌にも挑戦しています。

中国語を勉強し始める前の私は、中国語の発音に対して、今とは少し違う印象を持っていました。街で大きな声で賑やかに話す中国人観光客の会話を耳にすると、中国語は力強く、勢いのある言葉なのだと思っていたのです。

ところが、テレサ・テンの歌を中国語で聴いたとき、その印象が大きく変わりました。

中国語の発音は、こんなにも繊細で美しかったのだと気づいたのです。

音の高低によって意味が変わる中国語は、歌になると一つひとつの音が滑らかにつながり、まるで水が流れるように響きます。柔らかな母音、息を含んだような子音、そして言葉の余韻。テレサ・テンの優しく透明感のある声で聴く中国語には、日本語とはまた違った色気と情緒があります。

同じ曲でも、日本語で歌うときと中国語で歌うときでは、心に浮かぶ風景まで違って感じられます。日本語では歌詞の意味がまっすぐ心に入ってきますが、中国語では音そのものの美しさに包まれるような感覚があります。

もちろん、中国語で歌うのは簡単ではありません。四声を意識しながら、歌のメロディーにも乗せなければなりません。カタカナで覚えるだけでは再現できない、微妙な音もたくさんあります。

それでも、何度も原曲を聴いて発音をまねし、少しずつ歌えるようになっていく時間は、とても楽しいものです。占いや英語とはまた違う、新しい世界の扉を開いているように感じます。

テレサ・テンは、台湾に生まれ、日本語、中国語、広東語など、さまざまな言葉で歌いました。国や言葉の壁を越えて、多くの人の心に届く歌を残した彼女は、まさにアジアを代表する歌姫だったと思います。

私が中国語の美しさに気づくことができたのも、テレサ・テンの歌との出会いがあったからです。

いつか台湾を訪れたら、テレサ・テンのお墓参りに行きたいと思っています。

彼女が眠る場所で、美しい歌をたくさん残してくれたこと、そして中国語で歌う喜びを教えてくれたことへの感謝を、静かに伝えたいです。

その日まで、私はこれからもテレサ・テンの歌を聴き、中国語の発音を学びながら、一曲ずつ大切に歌っていきたいと思います。

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