「掲載しても無駄」と諦めていた日々
「どうせ、誰も来っこない」
パソコンの画面に表示されたCrevio(クレヴィオ)の管理画面を見つめながら、僕は小さく溜息をつきました。
数日前、怪しい営業電話だと思いながらも、半ば自暴自棄で申し込んだ求人サービス。担当者に言われるがまま募集条件を入力し、公開ボタンを押したものの、僕の心の中は完全に冷め切っていました。
これまで何度も高い掲載料を払って求人媒体にお金をドブに捨ててきたのです。
数文字のテキストと使い回しの店舗写真だけで、この人手不足の時代にアルバイトが集まるわけがない。ましてや、時給を大幅に上げる予算なんて本部から出るはずもないのだから。
ガラガラのホールと、鳴り響くトラブルランプ
「店長、カード詰まりです!」
「あ、はい!今行きます!」
思考を打ち切ってホールへ飛び出します。
最新のスマート遊技機はドル箱の別積みこそありませんが、カードユニットの噛み合わせエラーや、タッチパネルの誤作動対応が絶え間なく発生します。
ガラガラのホール
点滅するトラブルランプ
一人で駆け回る僕
「一体いつまでこんなこと続ければいいんだよ……」
事務所に戻り、疲労で目のかすみがひどい目をこすりながら、冷え切った缶コーヒーを一気に煽りました。
デスクの上で震えたスマホ
その時でした。デスクの上に放置していた個人のスマホが、ブッ……ブッ……と短い振動を立てました。
本部からの督促LINEか、あるいはシフトを飛ばしたバイトからの言い訳か。気が重いまま画面を覗き込むと——
【Crevio】新規の応募が届きました
一瞬、目が点になりました。見間違いかと思い、画面を拭いてもう一度見直します。間違いなく「応募」と書かれていました。
半信半疑でパソコンに向かい管理画面をリロードすると、画面上の応募者数の数字が「0」から「1」に変わっていたのです。
わずか2日で「3件」の衝撃
さらに驚いたことに、それだけでは終わりませんでした。
その日の夜:締め作業を終えて終電近くの電車の中で1件
翌朝:ワンオペの開店準備に追われている最中に1件
わずか2日の間に、ポロポロと3件の応募が入ったのです。
今まで高い掲載料を払って大手サイトに載せても、1ヶ月「応募ゼロ」が当たり前だったのに。
安堵のあとに押し寄せる「新たな不安」
「本当に……応募が来るのか……?」
胸の奥で、冷え切っていた感情がかすかに温かくなるのを感じました。もしかしたら、この地獄のようなワンオペから抜け出せるかもしれない。
ですが同時に、長年の苦労で培われたネガティブな自分が耳元で冷たく囁きます。
(こんなに簡単に応募が来るなんて、逆に怪しくないか?)
(応募してきたのは、連絡もなしにドタキャンするような連中なんじゃないのか……?)
画面に並んだ応募者の名前と年齢を見つめながら、僕は安堵と新たな不安の狭間で、固く唾をのみ込みました。