「このままじゃ嫌だな」「本当は、やってみたいことがある」。
そう思っているのに、いざ動こうとすると足がすくむ。気づけば、何も変えないまま、また一年が過ぎていく。
そんな自分を、「意志が弱いから」「結局、私は変われない人間だから」と責めていませんか。
先に言っておきます。それは、あなたの弱さではありません。
アドラー心理学には、こんな考え方があります。
人が変われずにいるのは、能力が足りないからでも、根性がないからでもなく、本人が無意識のうちに「変わらない」という選択を、毎日くり返し選び直しているからだ、というものです。
ちょっと意地悪な言い方をすれば、こういうことです。
あなたは「変わりたい」と思っているんじゃなくて、「変わらなくていい理由」を、無意識のうちに探し続けているのかもしれません。
痛いところを突いてすみません。でも、これは責めているわけではないんです。
今のやり方には、不満があります。
しんどいことも、我慢していることもある。
それでも、それがどんな結末になるかは、だいたい予測がつきますよね。長年乗っている車みたいなものです。多少ガタがきていても、どこでどう動かせばいいか、身体が覚えている。
一方、新しい生き方を選んだ瞬間、その予測が効かなくなります。
何が起こるかわからない。うまくいく保証もない。その「わからなさ」への恐さの方が、実は今ある不満よりも、ずっと重く感じられることがあるんです。
だから人は、変わることで生まれる不安と、変わらないことで続く不満を、無意識に天秤にかけて、結局、知っている方の不満を選んでしまう。
「周りにどう思われるか」「今さらって思われないか」というのも、突き詰めれば、この知らない世界への恐さの、一つの表れなんだと思います。
動けないあなたは、意志が弱いんじゃない。ただ、自分をこれ以上傷つけないように、必死で守っているだけなんです。
だとしたら、必要なのは「気合いを入れる」ことじゃなくて、まず自分が何を恐れているのかを、ちゃんと見てあげることかもしれません。
「私は、何を変えたいんだろう」「そして、何を失うのが怖いんだろう」。
この二つを分けて考えてみるだけで、見える景色は少し変わります。
アドラー心理学では、変わるために必要なのは能力ではなく「勇気」だと言われています。
今のあなたに足りないのは、才能でも強い意志でもなくて、ほんの少しの勇気。それだけなのかもしれません。