私は、自分から話すのが得意な方ではないと思っていました。
ところが職場の人からは、
「いや、めっちゃ喋ってるじゃん」と言われることがあります。
自分では話すのが得意じゃないと思っているのに、周りから見るとよく喋っている。
前は、このズレをあまり気にしていませんでした。
でも人相学を学んでから、「ああ、そういうことなのかもしれない」
と思うようになりました。
子どもの頃から、耳は目立っていた
私は子どもの頃から、耳が大きいと言われていました。
正面から見ても耳が横に広がって見えるタイプで、服を着るときにも耳がよく引っかかっていました。
ただ、耳について嫌な印象があったわけではありません。
「福耳だね」
とも言われていたので、どちらかというと昔から自分の特徴の一つ、
という感じでした。
人相学を学んでいるとき、その耳について、
「耳が前を向いている人は、人の話を聴く傾向がある」
という見方があることを知りました。
もちろん、耳の形だけでその人の性格が全部分かる、という話ではありません。
人相学では、そういう読み方をすることがある、ということです。
それを聞いたときは、「ああ、そうかもな」と思いました。
話すのは得意じゃない。でも、人の話を聴くのは好きだった
私は昔から、人の話を聴くのが好きでした。
特に、自分より詳しい人の話を聴くのは好きでした。
仕事では、部下から相談されることもよくあります。
他部署から問い合わせを受けることも多かったのですが、
こちらは、
「この人なら何か知っていそう」
「分からなくても、詳しい人を知っていそう」
と思われていた面も大きかったと思います。
ただ、それを私は、「人の話を聴くのが得意だからだ」とは思っていませんでした。
むしろ、自分から話題を作って話すのは得意じゃないと思っていました。
でもよく考えてみると、相手から質問されたときや、自分が詳しい話になったとき、仕事の相談を受けているときは、かなり喋ります。
相手の話を受けて、
「え、そうなの?」
「じゃあ、それってこういうこと?」と返していく。
そうすると、相手もどんどん話し始めます。
中には、「あなたと話していると話が終わらない」と言う人もいました。「話していて気持ちがいい」と言われたこともあります。
そこでようやく、
自分から話題を作って話すのは得意じゃないけど、相手の話を受けて広げるのは得意なのかもしれない。
と思うようになりました。
だから周りから見ると、「よく喋る人」に見えていたのかもしれません。
何を言っているのか分からない相談が来た
以前、相手がかなり混乱した状態で話してきたことがありました。
最初は、何を言っているのかよく分かりませんでした。
でも、「それは違うんじゃない?」とか、「結局何が言いたいの?」
とは言わず、まず話してもらいました。
深読みもしない。
否定もしない。
まずはそのまま聴く。
話がどんどん別の方向へ飛びそうになったときだけ、相手がさっき使った言葉をそのまま使って質問しました。
「さっき、こういうふうに言ってたけど、これはこういうこと?」
そんな感じです。
しばらくすると、相手の話すペースが少し落ち着いてきました。
そこで、「ところで、ほんとはどうしたかったのかな?」と訊きました。
すると、そこからようやく本題に入れました。
最後に相手が、「あれ? 最初、何を言ってたんだろう。全然、話したいことと違ってたのに」と言ったんです。
私が何か答えを出したわけではありません。
相手が、自分で整理していっただけです。
私はその邪魔をしなかった。
たぶん、私がやったのはそれくらいです。
相手の気分も害さず、話も整理できた。
正直、面倒なことにならなくてよかったとも思いました。
でも同時に、「喋らなくても、話を聴くだけでも意味があるんだ」と思った出来事でもありました。
答えを出さない方が、自分も楽だった
その後、人の話を聴くときは、以前より意識するようになりました。
まずは否定しない。
いったん受け止める。
それから、「どうしたい?」と訊く。
すぐに答えが出なければ、少し待ちます。
それでも分からなければ、それまで相手が話した言葉を使って、
「ここまで、こういう話をしてたよね。合ってる?」と整理する。
必要なら、選択肢を絞れるところまで話を絞り込みます。
そうしていると、相手の表情が変わって、「あ、そういうことか」となる瞬間があります。
私はそのとき、「よかった、整理できたな。ここまで来れば、あともう少しだ」と思います。
最後に訊くのは、「じゃあ、まず何をやる?」です。
本人が自分で気づいて、その先が少し見えたなら、それでいい。
私は今のところ、そう思っています。
昔からやっていたことに、意味がついた
人相学で耳の特徴を知ったから、急に人の話を聴けるようになったわけではありません。
もともと、こういうことはやっていました。
でも、「自分には、人の話を受けて広げる傾向があるのかもしれない」
と知ったことで、
「なるほど。だから自分は昔からこうだったのか」と納得しました。
そういう特徴があると分かってからは、それを意識して使うようにもなりました。
自分が正解を出すより、相手に話してもらう。
その方が相手から反発されにくい。
自分も責任を背負いすぎなくていい。
一方的に説明するより疲れにくい。
だから結果として、長く話を聞いていられる。
たぶん、私にはこのやり方の方が合っているんだと思います。
以前は、単純に、「自分は話すのが得意じゃない」と思っていました。
今は、「相手の話を受けて広げるのは、案外自分に合っているのかもしれない」と思っています。
自分では普通にやっていたことでも、別の角度から見ると、それも一つの特徴なのかもしれません。
私にとって人相学は、そうやって昔からあった自分の特徴に意味をつけ直すきっかけにもなっています。
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時野なおし