こんにちは!秀平文忠です。
夏の軒下に吊るされた風鈴は、風そのものを見ることはできなくても、チリンと心地よい音を響かせることで、そこに爽やかな風が吹いていることを教えてくれます。普段は意識することのない空気の流れが、小さな鈴ひとつを通すだけで、一気に心地よい涼しさとして立ち現れるのが何とも不思議です。私が日常的に手がけている業務の整理や仕組みの構築も、この風鈴のように目に見えない流れを感じ取り、形にしていく感覚によく似ています。
私たちの日常や仕事の現場には、目に見えない風のような流れが常に存在しています。メールのやり取り、資料の共有、確認作業など、どれも形のない空気のように流れていきます。しかし、作業と作業の間に小さな引っかかりや停滞があると、風はうまく通り抜けられず、部屋の中に重たい空気が溜まってしまいます。手作業で何度も同じデータを移し替えたり、返信を待つためだけに作業が止まったりするのは、締め切った部屋の中で滞っている空気のようなものです。
あるとき、作業の手順が多くて全員が慌ただしく動き回っている現場の様子を見直す機会がありました。当事者の方々は真面目に作業をこなしていましたが、どこか全体に重苦しい雰囲気が漂っていました。ひとつひとつの手順を丁寧に観察してみると、作業と作業の継ぎ目で情報がスムーズに伝わらず、担当者が手作業で何度も確認を繰り返していることが分かりました。
そこで、部屋全体の壁を取り壊すような大工事をするのではなく、風が滞っている場所に小さな風鈴をひとつ飾るような工夫を取り入れてみました。ツールとツールの間に情報を自動で届ける小さな道筋を作ったのです。手作業で行っていた確認が自然と流れるようになると、滞っていた空気がすっと入れ替わり、作業全体のテンポが驚くほど軽やかになりました。
大きな新しい道具を無理に持ち込まなくても、通り道にある小さな詰まりを取り除いてあげるだけで、毎日の作業は快適に動き始めます。目に見える作業だけに囚われるのではなく、その間を流れる目に見えない空気や温度に耳を澄ませてみること。
見慣れた日常の中に潜む小さな滞りを見つけ出し、心地よい風が通る道筋を作っていくこと。そんな柔らかい視点を持つことこそが、毎日をより自由に、そして心地よく変えていく一番の鍵なのだと感じています。