こんにちは。さやかです。
第32回国家資格キャリアコンサルタント試験を終えて、学科試験がかなり難しかったと感じた方も多いのではないでしょうか。
実際に試験を受けた当事者としては、確かに難しかったと思います。
特に、第31回の過去問を解いた後では、「難しい」と感じると思います。
そんな試験において、私は結果として合格をもぎ取ることができました。
何が「難しい」と感じさせたのか?
今回の試験において、「意地悪な問題が増えた」わけではなく、今の社会情勢とキャリコンに求められる資質がこれまでよりリアルに求められた試験だったのではと思います。
本記事では、なぜキャリコンの学科試験が「ただ知識を問う試験」ではなくなったのか、そしてこれから受験する方々に向けて、どのような視点で勉強を進めるのがいいのかを、私見ではありますが、お伝えしたいと思います。
(注:本記事は個人的な考えをまとめたものです。試験への公式見解や合格を確約するような勉強法の提供ではございませんので、ご留意ください。)
10万人計画のシフトと「87,410名」のリアル:資格取得から即戦力を問うフェーズへ
皆さんもご存じの、国が掲げていた「キャリアコンサルタント10万人計画」。
厚生労働省の資料を辿ると、実は令和4年度末(令和5年3月末)時点での累積養成数は約10万7千人となり、すでに目標自体は達成されています。
しかし、登録センターの最新データ(2026年7月末現在)を見ると、実際の登録者数は「87,410名」にとどまっています。
累計10万人を突破しているのに、実稼働している登録者は約8.7万人です。
この数万人規模のギャップは、資格をとっても未登録のままだったり、更新を見送ったりして現場を離脱していることが原因だと思います。
これからキャリコンを目指される方にとっては、「なんで高いお金を出して頑張って勉強して合格したのに、登録や更新をしないの?」と思われる方もいるかと思います。
なぜ、資格取得後に離脱者が出るのか?
それは、キャリコンの資格を維持するのに、めちゃめちゃお金がかかるからです。
更新講習を受けるのに、数万必要ですし、講習自体も数時間のものもあり、勉強を続けるのにお金も時間も労力もかかります。そこまで頑張っても、キャリコンとしての認知はまだまだ社内的に薄く、活躍の場も少ないためにコスパが悪いと思ってしまうからだと思います。
せっかく合格者を出しても、キャリコンとして活躍してくれる人材が育たない。ただ、厚労省としては目標養成人数は達成している。
そんな状況と、今回の試験問題の難化傾向を重ね合わせると、試験実施機関の思惑が見えてきそうですよね。
キャリコンに求められるスキルと試験傾向
これからの試験では、キャリコンに必要な知識を持っているだけではなく、「資格を取ったその日から、自信を持ってクライエントの悩みに寄り添えるキャリコンになってほしい」という、よりリアルな現場重視へとシフトしてきているのではと感じました。
だからこそ、単に著名な理論家の名前を暗記するだけでなく、「その理論を知っていることでどんなアプローチができるのか?」、また社会情勢を把握することで「キャリコンとして今、問題や課題を抱えているのはどんな人たちなのか?」をしっかり考えられる実務的なスキルが問われているのではないかと思います。
第12次職業能力開発基本計画から読み取る必須知識
2026年に発表された最新の「第12次職業能力開発基本計画」では、これまでの流れを汲みつつも、より実践的な「スキルの見える化」や、個人のキャリア形成への伴走支援、企業の職業能力開発(DX人材育成など)への支援が戦略的に打ち出されています。
現場で実際にクライエントへリスキリングを提案するとなれば、教育訓練給付金の仕組み(夜間・休日・オンライン講座の拡大など)や、企業が活用できる助成金の知識が不可欠です。
しかし、試験で求められているのは「知っている」ことではありません。「どんな人なら給付が受けられるか?」「どういう状態なら除外されるのか?」といった、目の前のクライエントの利益を正しく守るためのリアルな判断力です。
これらが試験で問われるのは、現場で即戦力となるための「道具」として「正しくクライエントの利益になるように提案できる情報」として知っておくべきだからです。
その情報を正しく、必要なクライエントに提供できるキャリコンこそ、クライエントから信頼を得ることができるのではと思います。
目の前の相談者に誠実に向き合い、最適なキャリア支援を届けるためには、こうした「リアルな現場の状況把握」「現場で使える最新の支援ツールや制度」を正確に把握しておくことが求められているのではと考えています。
「いま日本がどういう状況か」社会情勢と時事データの把握
よりリアルな現場の状況を把握するには、まず「相談者が置かれている社会の現状」を理解しておく必要があります。
皆さんも、ご自分の会社や業界については「こういう人たちがいる」と把握されていると思います。
しかし、他業界の状況はどうでしょうか?
私の場合は製薬業界一筋の社会人生活だったため、他業界のリアルな状況までは正直把握しきれていませんでした。キャリコンとして広く支援するためには、「今、日本はどういう状況で、どんな人がいて、国はどうしていきたいのか?」というマクロな視点が欠かせません。
学科試験対策においても、固い用語や数値を丸暗記する前に、まずは日本の社会情勢や構造変化を「なんとなく」でも大枠で捉えておくことが非常に大切だと思います。
例えば、少し前までは「男性は外で働き、女性は家庭を守る」といった価値観が残っていましたが、現在では共働き世帯が多くなり、女性の社会進出や多様な働き方が当たり前になってきています。
もし「女性は家庭を優先すべき」という固定観念を持ったまま、職場で「もっとキャリアを築きたい!」と悩む育児世代の女性に向き合ったら、心からの寄り添いはできるでしょうか。
「いまはこういう時代なんだ」「こういう考え方もあるんだ」と柔軟に受け止め、相手の価値観や世界観を大事に、支援していけるキャリコンでありたいなと私は思います。
こうした時代背景や価値観の変化を感覚として掴んでいることが、時事問題の理解や実技での相談者理解(時代的・社会的背景を踏まえた見立て)の土台となります。
おススメ!確認必須の一次情報!
では、どこの情報を見ておけばいいんだ!と、お困りになるかたもいらっしゃると思います。
そんな皆様に、以下のような一次情報ソースに一通り目を通すことをお勧めします。
すべてを把握する必要はありませんが、試験での「見たことのない資料」に出会った際の判断材料として、必ず役立ちます。
そのためにも、面倒かもしれませんが、是非最新の動向などを押さえていただきたいと思います。
労働政策研究・研修機構(JILPT):国内外の労働に関する調査研究データや、労働市場の最新トレンド、統計情報を把握するのに最適です。
厚生労働省ホームページ:労働経済白書、職業能力開発基本計画、各種助成金や法改正など、国のキャリア支援政策の根幹となる資料が網羅されています。
内閣府ホームページ:男女共同参画白書や骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)など、よりマクロな視点での社会課題や政府の方向性を読み解く資料として重要です。
〇その他、参考として以下の省庁の情報もお勧めです。
経済産業省(METI):産業界の変革や、企業における人材育成の方向性(企業側から見た労働市場)を捉えるための最重要ソースです。
文部科学省(MEXT):学生・若年層のキャリア形成支援(学校領域)や、社会人の学び直しの基盤となる施策を管轄しています。教育機関での活動を視野に入れる場合、必読となります。
中小企業庁(経済産業省の外局):日本の企業数の99%以上、従業員数の約7割を占める中小企業の動向を把握するためのソースです。
総務省(MIC):国の基本的な統計調査を管轄しており、マクロな労働力や働き方の変化をデータで追う際に参照します。
これから受験される方へ
今回は、「本当にキャリコンの学科試験は難しくなったのか?」というテーマでまとめてみました。
ここまでを踏まえると、「難しくなった」のではなく、「より実践的な出題傾向になった」ということではないでしょうか?
これからのキャリコン試験は、知識の量ではなく、「社会情勢の変化をどう捉え、支援にどう活かすか」という文脈の理解が勝負になります。
「この理論は、どういう人にどういう支援をするためにあるのか?」「この制度は、どんな人が必要としているのか?」そういった観点を持ちながら、学習を進めていただければと思います。
そして、過去問の周回に加えて、ぜひ最新の労働経済白書や第12次職業能力開発基本計画などの「一次情報」に目を通してみてください。国の施策と現場の課題(当事者目線)をリンクさせて理解することで、ただの暗記が「生きた実務知識」へと変わり、試験本番でも必ず強い武器になるはずです。
皆さんの合格を心から応援しております。
もし疑問やご質問などありましたら、お気軽にご連絡ください!