「10営業日でお願いします」が、相手には別の日数で届いている

「10営業日でお願いします」が、相手には別の日数で届いている

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■ 暦の一か月と、働ける一か月は同じではない

2026年の6月と9月は、どちらも暦のうえでは30日です。土日を除くと、どちらも22日になります。ところが祝日まで除くと、6月は22日のまま、9月は19日になります。9月は敬老の日と秋分の日、そのあいだに挟まる休日が21日から23日の月・火・水に並ぶためです。

同じ「今月中に」でも、6月に言うのと9月に言うのとでは、使える日が3日ちがいます。範囲を広げると差はもっと開きます。2026年で土日祝を除いた日数がいちばん多いのは7月と12月の23日、いちばん少ないのは2月の18日です。5日の開きがあります。

見積もりを「一か月くらい」で置いたときにずれるのは、たいていここです。頭の中の一か月は20日前後で固定されていますが、実際の月は18日から23日のあいだで動いています。ずれた日数は、どこかの工程が吸収することになります。

■ 「10営業日」は、少なくとも四段階に分かれる

「10営業日でお願いします」と言ったとき、その10日が何を除いた日数なのかは、書かれていないかぎり決まりません。実務では、少なくとも次の四段階があります。

(1)土日だけを除く
(2)土日と国民の祝日を除く
(3)さらに自社の休業日を除く(夏季休暇、年末年始、創立記念日、棚卸日など)
(4)さらに相手方の休業日も除く

実際の日付で並べてみます。2026年12月21日(月)に受け取って、その翌営業日を1日目として10営業日と数えた場合です。

・土日だけを除く          → 2027年1月4日(月)/14日後
・土日と国民の祝日を除く      → 2027年1月5日(火)/15日後
・さらに12月29日から1月3日を休業とする → 2027年1月8日(金)/18日後

同じ「10営業日」で、4日ちがいます。どちらも嘘をついていません。数え方を言わなかっただけです。

段階が上がるほど日数は増えるので、依頼する側は(1)で、受ける側は(3)や(4)で数えがちです。立場によって都合のいい数え方が違うため、放っておくと自然には揃いません。

■ 相手の休みは、自分のカレンダーには載っていない

自社の休業日は、自分のカレンダーに入っています。忘れるのは相手方のほうです。

工程のなかで「先方の確認待ち」「承認待ち」「部材の到着待ち」になっている区間は、自分の稼働日ではなく相手の稼働日で進みます。こちらが出勤していても、相手が休んでいれば止まっている。金曜の夕方に投げた確認が、相手の連休明けまで動かないことがあるのは、この区間を自分のカレンダーで数えているからです。

対策は難しくありません。相手待ちの工程を洗い出して、その区間だけ「相手のカレンダーで数える」と決めておくことです。年末年始と夏季休暇の時期だけでも、先方の休業予定を先に聞いておく。工程表に「先方休業」の行を一本立てておくと、そこに重なる作業が見えます。

■ 起点と終わりを、一行だけ書き足す

数え方の次に食い違うのが、どこから数えはじめるかです。

「受領日から10営業日」と「着手日から10営業日」は別物です。受領した日に着手できるとはかぎらないからです。さらに、起点の日そのものを1日目に数えるか、翌営業日を1日目に数えるかでも1日ずれます。

やり取りの文面に、次のような一行を足しておくと、あとで確認し直す手間が消えます。

「受領日を0日目とし、その翌営業日を1日目として、土日・祝日・弊社の休業日を除いて10日目を納期とします」

長い一行ですが、この文が入っていれば、日付は誰が数えても同じ答えになります。口頭で決めた期間を書き残すときは、日数ではなく確定した日付そのものを書くほうが、さらに確実です。

■ 除外リストを作るとき、二重に引かれることがある

自分で稼働日を計算するときに起きやすいのが、休みを二回引いてしまう間違いです。

2026年の国民の祝日18日のうち、5月3日の憲法記念日は日曜と重なります。「土日を除いた日数から、祝日の件数を引く」という素朴な計算をすると、この日は土日としても祝日としても引かれ、1日多く減ります。

同じことは、除外リストに同じ日付を二回書いてしまったときにも起きます。自社の休業日と国民の祝日を同じ列に並べていくと、重なる日が出てきます。

避け方は二つです。除外リストには件数ではなく日付そのものを持たせること。そして、計算するときに「その日が平日である場合だけ引く」という条件を挟むことです。土日と重なった祝日は、すでに土日として引かれているので、もう一度引く必要がありません。

ついでに、除外リストは並び順を日付順にしておくと、重複に気づきやすくなります。

■ 表に持たせるなら、暦日と稼働日を切り替えられるようにする

日程を表で管理する段階になると、「この作業は何日かかるのか」を表示することになります。ここで暦日と稼働日のどちらか一方しか出さない作りにすると、結局は電卓に戻ります。

社外に見せる日程は暦日のほうが伝わります。9月1日から9月30日までと書いてあれば、相手は自分のカレンダーで読めるからです。一方、社内で作業量を見るときは稼働日のほうが役に立ちます。19日ぶんの作業なのか30日ぶんの作業なのかで、人の割り当てが変わります。

同じ表で両方を切り替えられるようにしておくと、この行き来がなくなります。切り替えの土台になるのは、結局さきほどの除外リストです。祝日と自社の休業日を一か所にまとめておけば、あとはそれを参照するだけで済みます。

■ 数え方を決めるためのプロンプト

そのままコピーして使えるプロンプトを二本置いておきます。【】の中を自分の案件に置き換えるだけで動きます。外部のサービスに入力する内容なので、取引先名や個人名は伏せて使ってください(例:取引先A、担当B)。

【プロンプト1】自社と相手方の休業日を、日付の一覧にする

あなたは日程管理の実務担当者です。稼働日の計算に使う「休業日の一覧」を作りたいので、抜けを埋めるのを手伝ってください。

・対象の期間:【例:2026年9月1日から2027年3月31日まで】
・自社の休み方:【例:土日休み。夏季休暇は8月中旬に3日、年末年始は12月29日から1月3日】
・自社の定休や特別な休み:【例:創立記念日、棚卸日、全社研修日。なければ「特になし」】
・相手方(取引先・外注先)の休み方:【分かる範囲で。分からなければ「不明」】

出力条件:
1. まず、私が書いていないのに休業日になりやすい日を、質問形式で挙げる(例:システムの停止日、繁忙期前後の一斉休業、工場の定期点検日)。質問は五つ以内にする
2. 次に、確定している休業日だけを「日付/名称/自社か相手方か」の三列の表にする。一行一日で、連続する休みも一日ずつに展開する
3. 国民の祝日は、日付も名称も推測で書かない。「内閣府の公開一覧から写して入れる」と一行書くだけにする
4. 自社と相手方で同じ日が休みになっているものには、表の右端に「重複」と書く
5. 対象の期間の外にはみ出す日は入れない
6. 最後に、この一覧を表計算ソフトの除外リストに貼るときの注意を三行以内で書く

祝日は、日付も名称も年によって動きます。春分の日と秋分の日は前年に確定し、法改正で祝日そのものが動くこともあります。AIに書かせず、内閣府が公開している一覧から写してください。プロンプトに「推測で書かない」と入れてあるのは、そのためです。

【プロンプト2】依頼文や見積書から、数え方が決まっていない箇所を洗い出す

以下の文面に出てくる「日数」「期間」の表現のうち、数え方が一通りに決まらない箇所を洗い出してください。

【依頼文・見積書・メールの本文をここに貼る。社名や個人名は伏せる】

やってほしいこと:
1. 日数・期間に関する記述を、原文のまま抜き出して番号を振る
2. それぞれについて、解釈が分かれる点を書く。観点は次の四つに限る
 ・暦日か、土日を除くか、祝日も除くか、双方の休業日も除くか
 ・起点はどこか(受領日、着手日、承認日など)と、起点の日を1日目に数えるかどうか
 ・終わりの日を含むかどうか
 ・その期間に相手の作業待ちが含まれるかどうか
3. 解釈の幅が何日ぶんになるかを、いちばん短い場合といちばん長い場合の日数で示す
4. そのまま送れる確認文を作る。相手を責める書き方にせず、「こちらの理解で合っているか」を尋ねる形で、200字以内にする
5. 書かれていないことを推測で補わない。判断できないものは「情報不足」と書く

出てきた確認文は、そのまま送らずに一度読み直してください。挙がったものを全部確認しにいくと、かえって話が止まります。解釈の幅がいちばん大きいものから、ひとつかふたつに絞るのが現実的です。

■ まとめ

・暦の一か月は、土日祝を除くと18日から23日のあいだで動く(2026年の場合)
・「10営業日」は、何を除くかで四段階に分かれる。書かなければ揃わない
・相手待ちの区間は、自分ではなく相手のカレンダーで進む
・起点を0日目にするか1日目にするかで、もう1日ずれる
・除外リストは件数ではなく日付で持ち、土日と重なった祝日を二度引かない
・表に持たせるなら、暦日と稼働日を切り替えられる形にしておく

日数の食い違いは、あとから見つかるほど直しにくくなります。着手前なら一行足すだけで済んだものが、納期の直前だと日程の組み直しになるからです。期間を決める場面で「これは何を除いた日数ですか」と一度だけ聞く。それだけで、後半に効いてきます。

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