「話を聞きます。」
そう言うと、「相談に乗ってアドバイスをしてくれる人」と思われることがあります。
でも、私が大切にしているのは少し違います。
私にとって「話を聞く」とは、相手を前へ引っ張っていくことではありません。
相手のペースに合わせて、一緒に歩くことだと思っています。
もちろん、アドバイスが必要な場面もあります。
でも、心が疲れているときは、無理に前へ進もうとするよりも、まずは気持ちを落ち着けることの方が大切な場合もあります。
焦って答えを出さなくてもいい。
時間が少しずつ気持ちを整理してくれることもあります。
だから私は、「今すぐ解決しよう」と急がなくてもいいと思っています。
少しでも心が楽になって、今日を穏やかに過ごせること。
まずは、それで十分なのではないでしょうか。
私が話を聞くときに大切にしていることが二つあります。
一つは、否定しないこと。
もう一つは、最後まで話を遮らないことです。
誰かに相談するときは、それだけで勇気がいるものです。
話している途中で否定されたり、決めつけられたりすると、「話さなければよかった」と感じてしまうこともあります。
私自身も、しんどいときに
「考えすぎじゃない?」
「未来のことなんて考えても分からないよ。」
と言われて、つらくなった経験があります。
言っていることは正しいのかもしれません。
でも、そのときの私は、正しさを求めていたわけではありませんでした。
ただ、「しんどいね」と受け止めてもらいたかっただけなのです。
だから私は、できるだけ正解を伝えようとは思いません。
「それってこういうことですよね」と決めつけることもしません。
その人にとっては、その気持ちが事実だからです。
相談の途中で沈黙になることもあります。
私は、沈黙は悪いことではないと思っています。
言葉を探している時間かもしれません。
気持ちを整理している時間かもしれません。
そんなときは無理に話を進めず、必要であれば
「そのときはどんな気持ちでしたか。」
「今はどう思っていますか。」
そんな小さな質問をしながら、その人のペースを大切にしたいと思っています。
涙が出てしまうこともあるかもしれません。
張りつめていた気持ちが少し緩んだからこそ、自然と涙が出ることもあります。
そんなときも、無理に話そうとしなくて大丈夫です。
落ち着くまで、ゆっくり待ちたいと思っています。
「共感」という言葉があります。
私は、共感とは「同じ経験をしていること」ではないと思っています。
同じ出来事を経験しても、感じ方は人それぞれです。
反対に、まったく違う経験しかしていなくても、その人の気持ちに寄り添うことはできます。
完全に理解することはできないかもしれません。
でも、
「そう思ったんですね。」
「そんな気持ちだったんですね。」
そうやって、その人の感じたことを大切に受け止めることはできます。
私にとって「話を聞く」ということは、答えを出すことではありません。
その人の気持ちに寄り添うこと。
そして、安心して話せる時間を一緒につくることです。
もしこのブログを読んで、「こんな話の聞き方もあるんだな」と感じてもらえたなら、とても嬉しく思います。