「求人を出しているのに、応募が来ない」——中小企業の採用で、いちばん多いお悩みです。
実はその原因、原稿の“書き方”にあることがほとんどです。そして同時に、多くの求人が知らないうちに法律に触れる表現を使ってしまっています。応募が来ないどころか、行政指導や媒体掲載NGのリスクにもなりかねません。
この記事では、採用・求人の文章を専門にしている立場から、「法律を守りながら、応募が増える」求人原稿の書き方を、すぐ使えるレベルで解説します。
■ 1. まず確認|やりがちな“3つの法令NG”
① 年齢で絞る(「30歳まで」「若い方歓迎」)
労働者の募集・採用では、年齢にかかわりなく均等な機会を与えることが原則として義務づけられています(労働施策総合推進法 第9条)。「30歳まで」「45歳以下」といった年齢制限は、原則NGです。ただし例外もあります(後述)。
② 性別で絞る(「営業マン募集」「女性歓迎」)
性別を理由にした募集・採用の制限は、男女雇用機会均等法 第5条で禁止されています。「営業マン」「ウェイトレス」など性別を連想させる職種名は避け、「営業職」「ホールスタッフ」のように中立的な呼び方にしましょう。
③ 盛りすぎ・実態と違う表現
2022年10月施行の改正職業安定法 第5条の4で、求人情報は「虚偽・誤解を生じさせる表示の禁止」と「正確・最新に保つこと」が義務になりました。正社員募集としながら実際はアルバイト、ごく一部のモデル年収を「月収100万円可」と最低保障のように見せる、などはNG。「盛る」より「具体的に・正直に」書くほうが、結果的に応募の質も上がります。
■ 2. 年齢制限の“例外”|書いてもいいのはこんな場合
第9条には例外が定められています(労働施策総合推進法施行規則 第1条の3)。代表的なものは次のとおりです。
1. 定年年齢を上限として、その年齢未満の人を期間の定めなく募集する場合
2. 法令で年齢制限がある業務(例:警備員は18歳以上、深夜業は18歳以上 など)
3. 長期勤続によるキャリア形成のため、若年者等を期間の定めなく募集する場合(例:「35歳未満」。ただし職務経験は不問とし、新卒と同じように育てる前提)=いわゆる例外事由3号イ
4. 技能・ノウハウの継承のため、特定職種で人数が著しく少ない年齢層に限って募集する場合
5. 60歳以上の高年齢者や、国の雇用促進施策の対象者に限って募集する場合
ポイントは、例外を使うときは「理由」を明示すること。「長期勤続によるキャリア形成のため(例外事由3号イ)」のように書くのが定石です。
■ 3. 応募が増える“書き方の型”(法令クリア × 刺さる)
1. ターゲットを一人に絞って書く … 「誰でも」は誰にも刺さりません。来てほしい一人を思い浮かべ、年齢でなく経験・志向で絞るのがコツ(=法令もクリア)。
2. 仕事内容を“1日の流れ”で具体的に … 「午前は電話・来客対応、午後は伝票入力…」のように、入社後がイメージできるまで書きます。
3. 条件は隠さず正直に明記 … 給与・勤務時間・休日・残業・必須資格を分かる範囲で。隠すと応募者は不安になり、的確表示の義務にも反します。正直さがいちばんの応募率対策です。
4. 「どんな人が活躍しているか」を年齢以外で描く … 「未経験から始めた人が多い」「コツコツ作業が好きな人が向いています」。人物像で書けば法令も守れて共感も生まれます。
5. 応募ハードルを下げる一文を添える … 「気になったらまずは話を聞きに来てください」「経験は問いません」。
■ 4. 公開前チェックリスト(5点)
・年齢制限を書いていない(書くなら例外事由+理由を明示)
・性別を限定する表現がない(職種名も中立か)
・給与・休日・勤務時間など条件が具体的で実態どおり
・「絶対」「確実」など誇大・断定の表現がない
・給与が勤務地の最低賃金を下回っていない(最低賃金は都道府県ごとに毎年10月頃改定。例:東京都は2025年10月から時給1,226円)
■ まとめ
応募が来ないのは、会社に魅力がないからではありません。「書き方」と「法令の押さえ方」で、求人は大きく変わります。
・年齢・性別で絞らない(例外は理由を明示)
・盛らずに、具体的に・正直に
・来てほしい一人に向けて書く
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※当方は求人原稿の作成・改善(制作・情報提供)を行うもので、求職者の紹介・あっせん(職業紹介)は行いません。