【FP1級の現場から】「彼女と結婚してよいと思いますか?」

【FP1級の現場から】「彼女と結婚してよいと思いますか?」

記事
法律・税務・士業全般

「彼女と結婚してよいと思いますか?」という相談から考えた、
夫婦のマネー価値観

こんにちは、FP1級の星です。

今回は、数年前に当時32歳の男性(Aさん)から受けた、ある結婚相談エピソードをご紹介したいと思います。

私はその時、業務としての有料相談としてお話を聞いたわけではありません。しかし、Aさんは私を「お金の専門家(FP1級有識者)」として信頼し、切実な思いで相談を持ちかけてきてくれました。

一見するとカップルの価値観のすり合わせに見えるこのお話。実は、「結婚後のライフプランが成立するかどうか」を占う非常に本質的なテーマが隠されていました。

「共働き希望」の彼が出会った理想の彼女…?
当時のAさんの年収は430万円ほど。32歳という年齢を考えれば決して低い収入ではありませんが、彼は非常に冷静で現実的な感覚を持った方でした。

「自分の今の収入だけで、将来の家族全員を養っていくのは難しい。だから結婚相手は、一緒に家計を支えてくれる共働きの人が良い」

そう考えて婚活をしていたAさんは、ある女性と出会い、数ヶ月ほどお付き合いを重ねました。しかし、関係が進むにつれて「どうしても考え方が噛み合わない」とモヤモヤを募らせ、私に声をかけてくれたのです。

噛み合わない会話:「稼いだお金は1円も家族に使わない」
私とAさんとの会話は、こんなやり取りから始まりました。

私「考え方の違い、ですか? 具体的にどんなところでお互いの認識が違っていたのですか?」

Aさん「彼女も『共働きをする』とは言ってくれているんです。ただ……『自分が働いたお金は全部自分で使いたい』と言うんです。」

私「えっと……最近は夫婦でお互い定額の生活費を出し合って、残ったお金を個人の小遣い(自由なお金)にするスタイルのご家庭も増えていますよね。そういう意味でしょうか?」

Aさん「私も最初はそう思って確認してみたんです。でも違いました。彼女は『自分で稼いだお金は、1円たりとも家族の生活のために使うつもりはない』とはっきり言ったんです。」
Gemini_Generated_Image_8gu40f8gu40f8gu4.jpg
私「えっ……? それは『共働き』なんですか?」

Aさん「はい。『お互いに働いているんだから共働きでしょ』と言われました。さらに『生活費は全額あなたが払ってね。でも共働きだから、家事はもちろん折半ね』と……」
Gemini_Generated_Image_b1u1tvb1u1tvb1u1.jpg

私「……それ、共働きって言わないよね?(思わず本音が出てしまいました)」

Aさん「彼女の言い分としては、『今は実家暮らしで自分の稼ぎを100%自由に使える。それが自分にとっての当たり前だから、結婚によって生活の質(QOL)を落としたくない』ということらしいんです。」「当たり前」の正体と、すれ違う人生観
私「うーん……それでも彼女のことがすごく好きなら申し訳ないけれど……もし彼女と結婚したとして、その先に描けるライフプランってあるのかな? 良い人生になりそう?」

Aさん「……良い人生にはならないと思います。」

私「もしかして、彼女はすごくお若い方なのですか? もし社会人経験が浅いなら、お金に対する考え方がまだ未熟ということもあるかもしれないけれど……」

Aさん「いえ、34歳です。」

私「……それでも、結婚したいと思う?」

Aさん「いいえ、もう結婚はしたくないと思いました。ただ、彼女は『これが普通だ』と言い張るんです。聞けば、彼女のお母さんも自分で働いたお金はすべて自分のお小遣いにしていたみたいで……」

ここで、私の中でひとつのパズルが解けました。

私「なるほど……ひと昔前、夫が働いて妻が専業主婦だった時代のお話ですね。夫が高収入な家庭で、子どもが大きくなった後に妻がパート等に出ると、その稼ぎは『全額妻のお小遣い』というご家庭が一定数ありました。おそらく彼女は、そのご家庭の文化で育ったのでしょうね。」

Aさん「ああ、だから彼女にとってそれが『普通』なんですね……。でも、だったらなぜ家事は折半なんでしょうか? 彼女のお母さんは家事をすべて一人でされていたはずですが……」

私「自分の都合が良いところだけを『いいとこ取り』してしまっているのでしょうね。……ちなみにAさん、今回の相談は『どうやって結婚後の生活を成り立たせるか』というご相談ですか?」

Aさん「いえ、モヤモヤしていた今の状態を整理したかったんです。お話ししてすっきり整理できました。もともと『この結婚はやめておこう』と思っていたのですが、その決意が完全に固まりました。」

Aさんは私と話すことを通して、自分自身の違和感を言語化し、現状を冷静に客観視したかったのだと思います。

この事例から学ぶ「マネー価値観」の教訓
今回の相談は、単なる「カップルの価値観のズレ」にとどまらず、ライフプランニングにおける 「マネー価値観(お金に対する前提認識)」の一致 がいかに重要かを痛感させられる出来事でした。

FP視点から見ても、結婚生活においてすれ違いを生む最大の要因の一つが、この「実家で培われた『普通(当たり前)』のギャップ」です。

1. 「共働き」の定義のギャップ
一般的なFP相談で扱う「共働き世帯」とは、お互いの収入を持ち寄って世帯全体の家計や将来の資産形成を共同で担うスタイルを指します。一方、彼女の認識は「単にお互いが就労している状態」という極めて限定的なものでした。

2. 「生活の質(QOL)の維持」というトラップ
「実家暮らしで自分の収入を100%自由に使えていた」状態は、実家の親が住居費や光熱費・食費などを負担してくれていたからこそ成り立っていた「保護された環境」です。独立して新しい世帯を築く以上、実家時代の支出水準をそのまま維持しようとすれば、必ず家計のどこかに破綻が生じます。

3. 権利と義務(負担)のバランス
「家事や育児は折半(公平な分担)」を主張するのであれば、世帯の経済的負担においても相応の合意と分担が求められます。「都合の良い部分のつまみ食い」では、夫婦の信頼関係(パートナーシップ)は持続しません。

結婚前にこの「マネー価値観の違い」が露呈したのは、Aさんにとって悲劇ではなく、致命的な人生の破綻を未然に防ぐことができた極めて大きな収穫だったと言えます。

FP1級として伝えたい「自分らしいライフプラン」
今回の相談を通じて、Aさんは「今のモヤモヤした状態」を言葉にして客観視することで、自分自身が本当に望む未来やパートナーシップのあり方に気づくことができました。

FPの役割は、単に「年収〇〇万円で、どのような住宅ローンが組めるか」といった数字の計算をすることだけではありません。相談者の想いや違和感を整理し、「本人が納得してこれからの人生を選択できるよう後押しすること」にこそ本質があります。

当時のAさんの年収430万円(32歳)という数字は、これからの働き方や工夫、そして価値観を共有できる誠実なパートナーと歩むことで、いくらでも豊かで安定したライフプランを描ける十分なポテンシャルを持っています。

違和感をうやむやにせず、自分の将来を見据えて冷静な決断を下せたAさんなら、次は必ず「共にお金を育て、共により良い生活を築いていける素晴らしいパートナー」と巡り合えるはずです。

おわりに
「お金の話」を結婚前にするのは、一見すると少し生々しく冷たいことのように思えるかもしれません。しかし、お金の使い方は「どう生きたいか」という人生観そのものです。

結婚を考えている方、あるいは婚活中の方は、条件や気持ちだけでなく、ぜひ早い段階で「お互いのお金に対する前提認識(マネー価値観)」のすり合わせをしてみてくださいね。
-------------------
ここでブログはおしまいです。このようにお話をすることで今後の行動を整理される方もいます。
今回のお話は、私にとっては何の技術を使うものでもありませんでしたが、彼にとっては「彼女が『普通』と言い張っていたことは信じてあげたい」思っていて、その上で、結婚しないという結論に至りたかったようです。結婚まで考えたのですから、「信じたいという想い」と、「合わせられないという現実」とが両方あり苦しんでいたようです。
後日談で、これを聞いて、彼の役には立っていたようで、良かったと思いました。
ご相談の場合は、こちらにお願いします。30分で出しているこちらでも、内容が違っても良いので、ご相談くださいね。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す