豚の頭数を数えるAIで、できたことと、できなかったこと

豚の頭数を数えるAIで、できたことと、できなかったこと

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IT・テクノロジー
天井のカメラ映像から豚を数えるAIのPoC(社内検証)を作りました。ゲートを通る場面では95〜98%の精度が出ましたが、密集した豚舎の中では、正確な頭数は出せませんでした。

何を作ったか
固定カメラの映像から、豚を検出して追跡し、頭数をリアルタイムで数え続けるパイプラインです。個体ごとにIDを付けて、画面の上でカウントを更新していきます。既存のカメラ設備をそのまま使える形で組みました。

これは特定の農場や顧客に紐づくものではありません。社内で技術検証として作ったPoC(概念実証)です。デモは、頭数の少ない豚舎(7頭、重なりが少ない)と、密集した豚舎(24頭)の2つの条件で確認しました。

ゲート通過時は95〜98%
ゲートや通路のような、決まった場所を通るときの数え方では、95〜98%の精度が出ています。豚が一列に近い形で通るため、個体同士の重なりが少なく、農場の正式な照合数値として使える水準です。

密集した豚舎で出せなかった理由
一方、密集した豚舎を天井から見下ろす条件では、正確な頭数はまだ出せません。

理由は、個体同士が重なり合うことです。豚舎内の映像では、豚が絶えず重なり、隠れ合います。これはこのPoC固有の弱点ではありません。家畜を対象にした画像認識全般が抱える、単眼カメラの物理的な限界です。

デモでは、隠れていた個体が再び現れたときに、別のIDが割り当てられる現象を確認しています。同じ豚が2頭として数えられたり、逆に数え漏れが起きたりする原因です。そのため、密集シーンでのカウントは、正式な頭数としてではなく、前回との差分から異常に気づくための監視補助として位置づけています。20頭を超える個体を同時に検出・追跡できることは確認できていますが、この数値をそのまま公式なカウントとして扱ってはいません。

次に必要なもの(農場ごとの学習データ)
ゲート通過時の95〜98%を、実際の農場で使える数値として約束するには、その農場のカメラ角度、照明、豚の品種に合わせて画像を集め、ラベルを付けて学習させる必要があります。このPoCは技術的に実現できるかを確かめる段階までで、特定の農場に紐づいていないため、この工程はまだ行っていません。

そのほかにも、粉塵や高い湿度、夜間の照明のばらつきといった、実際の農場環境への対応は未検証です。体重の推定や体温異常の検知、行動の分析といった関連する課題も、今回の範囲には含まれていません。

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