なぜベトナムのエンジニア単価は「安い」だけで語れなくなったのか

なぜベトナムのエンジニア単価は「安い」だけで語れなくなったのか

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IT・テクノロジー
ベトナムオフショアの検討資料には、いまだに「人件費が安い」が最初の行に来ることが多いです。数年前まではそれで間違っていませんでした。ただ、直近の市場データを見ると、この前提そのものが崩れつつあります。

単価はすでに逆転している

2025年のオフショア開発白書(offshore-kaihatsu.com調べ)によると、ベトナムのプログラマー単価は月額約40.1万円です。同じ調査でのインド単価は37.5万円で前年比29.6%下落、フィリピンは37.2万円で前年比13.5%下落となっています。つまり現時点で、ベトナムはインドよりもフィリピンよりも単価が高い国になっています。

これは一時的な逆転ではありません。ベトナムのIT人材の給与水準は数年にわたって上昇を続けている一方、インドやフィリピンは通貨や労働市場の事情から単価が下がっている局面にあります。数年前の相場感覚のまま発注先を比較すると、実態とずれた判断になりやすい状況です。

社内の情報システム部門やIT企業の調達担当者が数年前に集めた見積もり比較を、そのまま社内資料として使い回しているケースも見かけます。単価の前提が変わっている以上、こうした資料は一度更新したほうが安全です。

「安いから」で選んでいた前提が崩れる

単価だけを比較軸にしていた発注担当者にとって、これは地味に困る変化です。ベトナムを選ぶ理由が「他のアジア諸国より安いから」だった場合、その根拠がすでに数字の上で成立しなくなっているためです。

単価で並べて一番下を選ぶという比較のやり方自体が、成立しにくくなってきています。かといって、単価が上がったベトナムが選ばれなくなるかというと、そうとも言い切れません。発注担当者が本当に評価したいのは、月額いくらかではなく、その金額で何がどれだけ早く出てくるかのはずだからです。

見るべきは単価ではなく、要件からものが出るまでの速さ

同じ単価でも、要件を伝えてから動くものが手元に届くまでの時間は、体制によって大きく変わります。間に何層もの調整役が入るほど、伝達と確認に時間がかかります。逆に、実際に手を動かすエンジニアと直接やり取りできる体制であれば、疑問点への回答や仕様の微調整はその場で完結しやすくなります。

もう一つの変数は、AIをどう組み込んでいるかです。定型的な実装やテストコードの生成をAIに任せている体制と、すべてを人手で書いている体制とでは、同じ人数でも着手から動くものが出るまでの時間は変わってきます。ここは単価表には出てこない部分ですが、実際の進行スピードに直結します。

発注先を比較するときは、月額単価と並べて、要件を渡してからレビューできる状態のものが届くまで何日かかるか、間に何人の調整役が挟まるかを聞いてみることをおすすめします。この2つは、単価表よりも実際のプロジェクトの体感速度に近い数字です。

見積もり依頼の段階でこの2点を質問に加えておくと、単価表だけでは見えなかった体制の違いが比較しやすくなります。即答できない場合、その体制自体がまだ整理されていない可能性もあります。

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