介護職に求められるものは立場で違う。自分はどんな職員になりたいか

介護職に求められるものは立場で違う。自分はどんな職員になりたいか

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「いい介護職員」と聞くと、どんな人を思い浮かべますか?

利用者さんの話をよく聞く人。仕事が早く、周りを見て動ける人。家族に丁寧に説明できる人。職場の方針を理解し、チームで働ける人。

どれも大切な姿です。ただ、事業所、制度、利用者さん、家族では、職員に求めるものが少しずつ違います。

今回は、それぞれの立場から見た「求められる職員像」を整理しながら、介護職として自分は何を大切にして働きたいのかを考えます。

仕事をする人に共通する土台

介護に限らず、仕事をするうえでは、責任を持つこと、必要な情報を伝えること、周囲と協力すること、学び続けることが大切です。

厚生労働省の職業能力評価基準でも、職務への責任、コミュニケーション、チームワーク、考える力、専門性などが、仕事に必要な能力を考える視点として示されています。厚生労働省「職業能力評価基準」

職種によって求められる形は違いますが、「自分の仕事が誰に影響するのかを考える」「必要なことを共有する」といった姿勢は、どの仕事にも通じる土台ではないでしょうか。

介護職として外せないこと

介護には、仕事に共通する土台に加えて、大切にしたい専門職としての基準があります。

それは、目の前の人を一人の人として尊重することです。

介護保険法は、高齢者の尊厳を保ち、その人の能力に応じて自立した日常生活を営めるよう支援することを基本にしています。介護保険法

ここでいう自立は、何でも一人でできるようにすることではありません。その人の力や希望を踏まえ、自分で選ぶことや、その人らしい生活を続けることを支える考え方です。

介護福祉士の倫理綱領にも、利用者本位の支援、自己決定の尊重、プライバシーの保護、専門性を高め続けることなどが示されています。日本介護福祉士会「倫理綱領」

立場が違えば、求める職員像も違う

事業所が求めるのは、安全に配慮しながら業務を進め、記録や申し送りを行い、周囲と連携できる職員かもしれません。

制度が大切にするのは、本人の尊厳や自己決定を守り、その人の状態や希望に応じて支援することです。

利用者さんは、自分の話を聞いてくれる職員や、自分のペースを尊重してくれる職員を望むことがあります。一方で、必要以上に話しかけず、自分の時間を大切にしてくれる人を心地よく感じる方もいます。

家族の希望もさまざまです。本人の希望を尊重してほしい、安全に過ごせるようにしてほしい、変化があれば知らせてほしい。家族の思いと本人の希望が、いつも同じとは限りません。

見る立場が違えば、職員への期待も違います。誰かが間違っているというより、それぞれに大切にしたいことがあるのだと思います。

「もっと話を聞いてほしい」と「ほかの人にも対応したい」

利用者さんや家族が「もう少し話を聞いてほしい」と感じる場面があります。話を聞いてもらうことが、安心につながる方もいるでしょう。

職員にとっても、話を聞くことは相手を知るための大切な時間です。ただ、ほかの利用者さんへの支援や記録、次の業務もあります。一人の方との会話に時間をかけることで、別の方を待たせてしまう場合もあります。

「公平に対応したい」と思っても、全員にまったく同じ時間をかけることが公平とは限りません。利用者さんの希望と、職員が担う業務全体。その両方があるからこそ、介護の仕事には簡単に答えの出ない難しさがあります。

他の仕事にもある「基本」と「人に合わせること」

接客の仕事では、案内や確認の手順をそろえる一方で、会話まで決まり文句にすると、相手に合わせにくくなることがあります。基本の手順と、その場に応じた応対の両方が大切です。Cornell Center for Hospitality Researchの研究

医療のように安全確認が欠かせない仕事では、確認項目や順番を決めておくことが、見落としを防ぐ助けになります。世界保健機関「Safe Surgery」

介護にも、尊厳や安全、プライバシーを守るという基本があります。その一方で、どんな声かけが安心につながるか、どのくらいの距離感が心地よいかは、人によって異なります。

不器用でも、自分の軸を持つ職員

私自身、多くの介護職員を見てきたなかで、自分なりの考えを持ち、その考えを根拠とともに語れる人は、決して多くないと感じてきました。

会社の方針を大切にする人もいれば、家族の思いに寄り添う人、本人の希望を何より大切にする人もいます。何を大事にするかは、人によって違っていていいと思います。

大切なのは、自分が何を大事にしているのか、その考えに責任を持っていることです。

そうした職員は、ときに頑固に見えたり、チームでの仕事が少し不器用に見えたりするかもしれません。それでも、誰かを、あるいは何かを、根拠を持って大切にしながら働いている。その姿を見て、専門職として評価している管理者や上司は、きっといるはずです。

誰からも好かれることや、すべての期待に応えることだけが、介護職員の条件ではありません。

さまざまな立場の考え方を知ったうえで、自分は何を大切に働くのか。その軸を持ち続けることも、介護職としての大切な姿勢なのではないでしょうか。

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