ホームページ制作の体制には、いくつかのパターンがあります。ひとりのデザイナーがすべてを担当する場合もあれば、デザイナー、エンジニア、ディレクターといった複数の役割が分業で進める場合もあります。今回注目したいのは、「集客の設計(マーケティング)」と「実際のサイト構築(技術)」を、最初から同じテーブルで考えるという体制です。
設計と技術が分離していると、何が起きるか
マーケティングと技術が別々に進む体制では、よくこんな流れが起こります。まずマーケティング担当が「誰に、何を、どう伝えるか」という戦略を考え、構成案を作る。その構成案が、後から技術側に引き渡され、実装が行われる。
この流れ自体は一般的ですが、ひとつの落とし穴があります。それは、「戦略上は理想的でも、技術的な制約や表示速度、使いやすさの観点からは実現しにくい」という案が、後工程で初めて発覚するケースです。逆に、技術的にきれいに実装できても、それが本来伝えたかったメッセージや訴求力を弱めてしまうケースもあります。
つまり、戦略と技術が分離していると、どちらかが後から相手の制約に合わせて妥協する、という事態が起こりやすくなるのです。
最初から一体で考えるとどうなるか
これに対して、マーケティング担当とエンジニアが、設計の初期段階から同じテーブルで議論する体制では、状況が変わります。「このメッセージを伝えたいが、技術的にはどう実現するのが最も効果的か」「この技術的な制約のなかで、伝えたいことを最大限活かすにはどう構成すべきか」といった調整が、後工程ではなく、最初の設計段階で行われます。
結果として、戦略と実装のあいだで生まれる妥協が少なくなり、「伝えたいことが、伝えたい形のまま、問題なく動くサイトとして実現される」可能性が高まります。
3つの専門性が積み重なる場所
ホームページが成果を出すためには、大きく3つの要素が必要だと考えられます。
・「誰に、何を、どう伝えるか」を考える戦略
・思わず目を留めるデザイン
・使いやすく快適に動く確かな技術
これらは、それぞれ独立した専門分野です。しかし、最終的に1つのホームページという形にまとまる以上、どこかでこれらを統合する視点が必要になります。その統合を、納品の直前や修正作業の中で行うのか、それとも設計の最初から行うのか。この違いは、最終的な完成度に大きく影響します。
発注者にとっての意味
発注者の立場から見ると、この体制のメリットは、「窓口が一本化される」という以上の意味を持ちます。戦略上の意図が、技術的な制約によって損なわれにくくなるということは、結果として「思っていたものと違う」というギャップが生まれにくくなるということでもあります。
依頼先を選ぶ際には、「デザインが得意かどうか」だけでなく、「戦略と技術が、設計の初期段階からどのように連携しているか」という点も、確認してみる価値があるかもしれません。