【介護士の独り言】感染リスクを背負って働く介護士から「大切な有給休暇」を奪わないでほしい

【介護士の独り言】感染リスクを背負って働く介護士から「大切な有給休暇」を奪わないでほしい

記事
コラム
今、インフルエンザが流行しています。

実は私も、先日インフルエンザに感染してしまいました。

おそらく、介護施設で働く妻が入居者様から感染し、それが家庭内でうつったのだと思います。

もちろん、誰かを責めたいわけではありません。

感染症が流行する時期に、介護の仕事をしていれば、ある程度の感染リスクは避けられません。

だからこそ、今回は介護士として働く一人の人間として、どうしても伝えたいことがあります。

「感染症にかかって休むことになった介護士の有給休暇を、当然のように消化させないでほしい」

ということです。

介護の現場は、感染症から距離を置けない
病院や介護施設は、一般的な職場と比べて感染症のリスクが高い環境です。

一般家庭であれば、家族がインフルエンザに感染したとき、

「今日は部屋から出ないでね」

「食事はここに置いておくから、自分で食べてね」

という対応もできます。

できるだけ距離を取って、感染を広げないようにすることができます。

しかし、介護施設ではそうはいきません。

入居者様の中には、自分で食事をすることが難しい方もいます。

排泄の介助が必要な方、着替えを一人ではできない方、移乗介助が必要な方もいます。

つまり、

「感染症が流行しているから、少し距離を置きましょう」

というわけにはいかないのです。

感染症が猛威を振るっていても、介護士は目の前の入居者様の生活を支えなければなりません。

食事介助。

排泄介助。

更衣介助。

入浴介助。

移乗介助。

時には、顔と顔が非常に近い距離で介助することもあります。

逃げることも、距離を置くこともできない。

それが介護の仕事です。

「マスクをしているから大丈夫」ではない

もちろん、感染対策を何もしていないわけではありません。

マスクを着用し、手袋やガウンを使用し、手洗いや手指消毒を徹底する。

必要な場面では、適切な感染対策を行います。

それでも、感染リスクを完全になくすことはできません。

一般的な不織布マスクは、感染者からの飛沫などを抑えたり、着用者から周囲への感染拡大を防いだりするうえで重要な役割があります。

一方で、マスクだけですべての感染を防げるわけではありません。

特に、感染症にかかっている可能性のある方と、近い距離で長時間接して介助を行う介護士にとって、感染リスクをゼロにすることは現実的に難しいのです。

もちろん、N95マスクなど、より高い防護性能を持つ呼吸用保護具が必要となる場面もあります。

それでも、介護の現場では「完全に感染リスクをなくす」ということはできません。

だからこそ、

「気をつけていれば感染しない」

とは簡単には言えないのです。

どれだけ気をつけていても、感染してしまう。

現場で働く介護士なら、そんな悔しい経験をしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。

家族の代わりにリスクを負っている介護士

介護の仕事をしていると、時々こんなことを考えます。

もし介護士がいなければ、誰が入居者様の食事を介助するのでしょうか。

誰が排泄を支えるのでしょうか。

誰が着替えを手伝うのでしょうか。

誰が入浴を支えるのでしょうか。

感染症が流行しているからといって、介護そのものを止めることはできません。

介護士は、自分自身の感染リスクを抱えながら、それでも入居者様の生活を守っています。

言い換えれば、

ご家族が本来担うはずの介護の一部を、介護士が仕事として引き受けている。

だからこそ、介護士自身が感染したときには、その負担についても社会が考えてほしいと思うのです。

それなのに、感染して休むと「有給休暇」?

私が以前から強く疑問に感じているのが、

「仕事中に感染症に感染して休む場合でも、自分の有給休暇を使わなければならない」

というケースがあることです。

もちろん、感染した原因が必ずしも職場だと証明できるわけではありません。

今回の私自身も、妻から家庭内感染した可能性があります。

だからこそ、すべてのケースを一律に「職場感染」と扱うべきだと言いたいわけではありません。

でも、介護や医療の現場で働く人が、感染症にさらされるリスクが一般的な職場より高いことは間違いありません。

そして、感染症にかかってしまった結果、仕事を休まなければならない。

そのときに、

「では、その休みはあなたの有給休暇を使ってください」

と言われる。

これには、どうしても釈然としないものがあります。

「有給休暇」は、本来もっと大切なものではないでしょうか

有給休暇は、働く人にとって大切な権利です。

家族旅行に使う人もいるでしょう。

子どもの行事に使う人もいるでしょう。

趣味を楽しむ人もいるでしょう。

何も予定を入れず、ゆっくり体を休めるために使う人もいます。

介護士だって同じです。

「次の休みには旅行に行こう」

「家族で温泉に行こう」

「たまには何もせずゆっくりしよう」

そんな楽しみのために、一日一日の仕事を頑張っている人もいます。

ところが、感染症にかかってしまうと、その大切な有給休暇を療養のために使わなければならない場合があります。

せっかく楽しみにしていた旅行をキャンセルし、

家で体を休め、

その期間の休暇まで自分の有給から消えていく。

もちろん、感染症にかかること自体は誰のせいでもありません。

だからこそ、

「病気になった人が、自分の大切な有給休暇を削ってまで負担する必要があるのだろうか」

と思ってしまうのです。

「感染症特別休暇」という選択肢があってもいい

私は、介護や医療など、感染症のリスクが高い仕事についている人のために、

「感染症特別休暇」

のような制度が、もっと広がってもいいのではないかと思います。

もちろん、制度を作るには、対象となる感染症や取得条件、費用負担など、考えなければならないことはたくさんあります。

職場感染なのか、家庭内感染なのかをどう判断するのかという問題もあります。

簡単な話ではありません。

それでも、

「感染症に感染したら、とにかく本人の有給休暇を使う」

という以外にも、選択肢があっていいのではないでしょうか。

特に、人の生活や命を支える仕事だからこそ、そこで働く人自身の生活や健康も守られる仕組みが必要だと思います。

介護士が安心して働ける環境を

介護業界では、以前から人手不足が大きな課題になっています。

仕事は決して楽ではありません。

身体的な負担もあります。

精神的な負担もあります。

そして、感染症の流行時には、普段以上に感染リスクを抱えながら仕事をすることになります。

それでも介護士は、目の前の入居者様を放っておくことはできません。

「今日は感染症が流行っているから、介助はできません」

とは言えないからです。

だからこそ、私は思います。

介護士に「もっと頑張ってほしい」と求めるだけではなく、

介護士自身を守る仕組みも、もっと大切にしてほしい。

感染症にかかってしまったときに安心して療養できること。

休んだことで生活が苦しくならないこと。

そして、仕事のために感染リスクを背負った人が、自分の楽しみや家族との時間のために大切にしていた有給休暇まで失わずに済むこと。

そんな環境があれば、介護士にとっても、介護を必要とする方にとっても、より安心できるのではないでしょうか。

最後に、介護の現場で働く皆さんへ

感染症が流行するたびに、

「また感染してしまうかもしれない」

という不安を抱えながら働いている介護士は、決して少なくないと思います。

それでも、今日も誰かの食事を支え、排泄を支え、入浴を支え、生活を支えています。

それは決して当たり前のことではありません。

私自身、今回インフルエンザに感染して、改めてそのことを考えました。

介護士も一人の人間です。

病気になれば休まなければなりません。

家族もいます。

楽しみにしている予定もあります。

そして、守りたい生活があります。

介護を必要とする人を守ることと、介護をする人を守ること。

その二つは、どちらか一方ではなく、両方を大切にする必要があるのではないでしょうか。

現場で感染リスクを背負いながら働く介護士が、安心して仕事を続けられる環境を。

そして、療養のために大切な有給休暇を使わなくても済むような仕組みを。

私は、そんな社会になってほしいと心から願っています。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す