組織において、定期的な「面談」の機会をつくることは非常に大切です。
個別に理念や目標を共有できますし、普段は言えない悩みや不安を吸い上げることで、不満の解消や働きやすさの向上に繋がります。
しかし、この面談も一歩やり方を間違えると、組織の士気を一瞬で奈落の底に突き落とす「毒薬」に変わってしまいます。
役職を引退し、現場介護士として働く私の身の回りで、先日こんなことがありました。
施設長と介護長による面談が行われ、「今思っていることや、話しておきたいことはない?」と聞かれたのです。スタッフの声を丁寧に拾い上げようとする姿勢に、最初は「とても良い機会だな」と感心していました。
しかし、数日後・・・
フィードバックと称して、現場主任から私を含めたスタッフたちに、こんな内容が伝えられたのです。
「周りのスタッフから、あなたたちに対してこんな不満(愚痴)が出ている」
「あのフロアは私語や愚痴が多いと言われている」
耳を疑いました。
役職者が「告げ口の拡声器」になってどうするのか
よくよく話を聞いてみると、ことの真相はこうでした。
コミュニケーションが苦手で、なかなか現場の輪に入れない介護士がいました。その人が、笑顔でテキパキと連携を取りながら仕事をしているメンバーたちを見て、「仲間外れにされている」「私語が多い」「誰かの悪口を言っているに違いない」と、被害妄想的に面談で不満をぶちまけたのです。
実際は、細かなケアの調整や確認を、カンファレンスを待たずにその場の立ち話でスピーディに決定・連携していただけでした。
問題は、役職者がその一方的な愚痴を真に受け、なんのフィルターも通さずに「フィードバック」と称して、頑張っているスタッフにそのまま伝えてしまったことです。
これを言われた側はどう思うでしょうか。
当然、士気はダダ下がりです。
「なるべく余計な話をしないようにしよう」と萎縮してしまい、必要な連携すら取りづらくなります。
何より、「誰が私の文句を言ったのだろう」と同僚を信じられなくなり、職場全体が疑心暗鬼に包まれてしまいます。これこそ、役職者自身がチームワークをめちゃくちゃに乱している元凶なのです。
私なら、こう伝える
もし、私がその立場であれば、スタッフからの告げ口をそのまま伝えるようなことは絶対にしません。
本当に「私語や悪口が多いように見える現場」があるのだとしたら、まずはリーダーである自分自身の目でその状況を確認します。その上で、同僚の文句として伝えるのではなく、
「今、入居者様(ご家族)の目から見て、私たちの立ち話がどう映っているか?」
という客観的な視点に変えて話をします。
「周りのスタッフが言っていたよ」と言われるのと、「入居者様からの見え方を意識しよう」と言われるのでは、受け止めるスタッフの納得感も、その後の同僚への信頼感も天と地ほど違います。
面談は「何のために行うのか」をはっきりさせよう
面談を行うこと自体は、決して悪いことではありません。
面談の中で、スタッフから色々な愚痴や不満をヒアリングするのも役職者の大切な仕事です。
しかし、「聞いた愚痴をどう処理し、どう伝え、どう現場の改善に生かしていくか」は、100%その役職者の器量次第です。
「とりあえず全員と面談をすればいい」わけではありません。
ただの告げ口大会にして現場をギスギスさせる前に、「何を目指して面談を行うのか」、役職者はそのゴールをハッキリと胸に刻んでおく必要があります。