この時期、多くの施設で「夏祭り」が開催されているのではないでしょうか。
夏祭りに限らず、敬老会、クリスマス、節分、お花見など、介護施設では年間を通してさまざまなイベントが行われます。
そこで一つ、質問があります。
あなたの施設では、「入居者・利用者全員の参加」を目標にしていませんか?
「全員参加でイベントが大盛り上がりしました!」
「皆さんとても喜んでいました!」
施設ではこれが「素晴らしいこと」として評価されがちですが、私は以前からここに強い違和感を抱いていました。
果たして、本当に誰もがイベントを「楽しい」と感じ、参加したいと思っているのでしょうか?
「自分が好きだから、みんなも好き」という大きな勘違い
もちろん、イベントを楽しみにしていて「やってよかった」と感じる入居者様が大半かもしれません。しかし、全員がそうではないはずです。
人混みが嫌いな人、大勢でワイワイやるのが苦手な人、静かに自分の時間を過ごしたい人。人間なのですから、一人ひとり価値観が違って当たり前です。
実は、私も昔は「全員参加」を目指す介護士の一人でした。
私自身がお祭りやイベントが大好きで、ワクワクしながら準備をし、入居者全員が参加できるように気を配っていました。そして、参加された方の笑顔を見て「満足」していたのです。
しかしある時、「私は行かない」とはっきり仰る入居者様が現れました。
せっかくのイベントなのになぜ行きたくないのか理由をお尋ねすると、「私は昔から、そういう大勢が集まる場所が好きじゃないの」とのことでした。
ご家族に確認してみても、「確かに昔から地域のお祭りやイベントには一切行ったことがない人です」とお話ししてくださいました。よく思い返せば、その方は日頃のレクリエーションにもあまり顔を出されない方だったのです。
この時、私はハッとしました。
「自分が好きだから、他のみんなも好きなはずだ」という考えは、介護士のエゴでしかなかったのだと。
全員が好きなものなんて、この世に存在しません。お祭りが嫌いな人がいて当然なのです。
その人らしい人生とは?
日常の「小さな選択」こそが、その人らしい人生をつくる
私は、イベントを開催する際はまず内容をしっかり説明し、「参加するかどうかをご本人やご家族に確認し、選んでもらうこと」が絶対に必要だと考えています。
施設に入居していようが、福祉サービスを利用していようが、人には「自分自身の行動を選択する権利」があるからです。
人生とは、自己決定の積み重ねです。
時に「どの施設に入るか」といった大きな決断もありますが、私たちは日々、「今日のお昼は何を食べようか」「休みの日はどう過ごそうか」「今夜は誰と会いに行こうか」という小さな選択(自己決定)を繰り返しながら、自分らしい人生をつくっています。
その自由や権利を、「施設の行事だから」「全員参加がルールだから」と奪ってしまってはいけません。
「全員参加してくれました!皆さん楽しんでいました!」と、自分の達成感や自己満足に浸っている介護士はいませんか?
本当の意味で「その人らしい暮らし」を支えるとはどういうことか。
たまには立ち止まって、入居者様一人ひとりの「選びたい権利」について考えてみませんか?