40代になると、仕事にも慣れ、周囲からは「経験のある人」「頼れる人」と見られることが増えてきます。
管理職として部下を支える。
上司からの期待に応える。
家に帰れば、子育てや親の介護、住宅ローンやこれからのお金のこともある。
一つひとつは何とかこなせていても、気づかないうちに負担が積み重なっていることがあります。
■「40代のうつが増えている」は本当?
厚生労働省の発表によると、2025年度に仕事による強いストレスなどを理由として行われた精神障害の労災請求は4,958件でした。
そのうち40~49歳は1,344件で、年代別では最も多くなっています。前年度の40~49歳は1,041件だったため、労災請求ベースでは増加しています。
ただし、この数字だけで「40代のうつ病が一律に増えた」と断定することはできません。
労災請求件数は、うつ病の患者数そのものではないからです。また、制度が知られるようになり、以前より申請しやすくなった影響も考えられます。
それでも、働く40代のこころの不調を「本人の弱さ」だけで片づけられない状況になっていることは確かだと思います。
■40代は、弱音を吐きにくい
40代は、職場でも家庭でも「支える側」になりやすい年代です。
「部下の前で弱音は吐けない」
「家族に心配をかけたくない」
「この年齢で仕事がつらいなんて言えない」
「自分が休んだら周りに迷惑がかかる」
こうして、自分の疲れを後回しにしてしまいます。
私も工場長として、立場が上がるほど相談できる相手が少なくなり、一人で判断を抱えやすくなる場面を見てきました。
真面目で責任感が強い人ほど、「もう限界です」と言う前に、「まだ頑張れます」と答えてしまうことがあります。
■こんな変化はありませんか
こころの不調は、必ずしも「悲しくて涙が出る」という形だけで現れるわけではありません。
・眠っても疲れが取れない
・朝、仕事へ行くのがひどくつらい
・好きだったことを楽しめない
・集中できず、判断に時間がかかる
・イライラが増え、家族に強く当たってしまう
・人と話したくなくなる
・「自分には価値がない」と考えてしまう
厚生労働省は、こうした変化が2週間以上続き、仕事や日常生活に支障が出ている場合には、精神科・心療内科などの専門家へ早めに相談することを勧めています。
これは「うつ病かどうかを自分で判断するためのチェックリスト」ではありません。気になる状態が続くときに、相談する目安として考えてください。
■すぐに答えを出さなくてもいい
つらいときほど、
「転職すべきか」
「会社を辞めるべきか」
「自分が変わるべきか」
という大きな答えを急いで出したくなります。
でも、心身が疲れているときは、まず今の状態を整理することが先かもしれません。
何がいちばん苦しいのか。
いつから変化が始まったのか。
仕事の問題なのか、家庭の負担なのか。
本当は誰に、何をわかってほしいのか。
誰かに話すことは、弱さではありません。自分の状態を言葉にして、必要な助けを選ぶための一歩です。
医療的な診断や治療が必要な状態は、医療機関へ相談してください。
その一方で、「まだ病気かどうかは分からないけれど、仕事やこれからのことを一度整理したい」という段階なら、キャリア相談で一緒に言葉にしていくこともできます。
結論を急がず、今抱えているものを一つずつ整理してみませんか。
▼仕事やこれからのことを、まず話して整理したい方へ
【参考資料】
厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74476.html
厚生労働省「令和6年度 過労死等の労災補償状況」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59039.html
厚生労働省「うつ病のサイン~自分で気づく変化」
https://kokoro.mhlw.go.jp/etc/pdf/afterSC_selfcare_A3.pdf
※この記事は診断や治療を行うものではありません。強いつらさがある場合や、日常生活に支障が出ている場合は、医療機関や公的な相談窓口へご相談ください。